上映した映画



2023年 第73回ベルリン国際映画祭エンカウンターズ部門 最優秀作品賞&国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)


それは世界と出会い直す魔法


世界的に注目を集めるベルギーの新鋭バス・ドゥヴォス監督がその祝祭的世界観をさらに飛躍させた最新作「Here」は、誰の目にも触れない、植物学者の女性と移民労働者の男性が織りなす些細で優しい日常の断片をつづったヒューマンドラマ。
他者と出会うことの喜びが、観る者の心をしずかに震わせ、ゆるやかに展開してゆく物語に身を委ねると、普段は見落としがちな、人のさりげない優しさや思いやりに気づかせてくれる。

2023年製作/83分/G/ベルギー
原題:Here
配給:サニーフィルム


あらすじ



ブリュッセルに住む建設労働者のシュテファンは、アパートを引き払い故郷のルーマニアに帰国するか悩んでいる。姉や友人たちにお別れの贈り物として冷蔵庫の残り物で作ったスープを配ってまわる。出発の準備が整ったシュテファンは、ある日、森を散歩中に以前レストランで出会った女性のシュシュと再会。そこで初めて彼女が苔類の研究者であること知る。足元に広がる多様で親密な世界で2人の心はゆっくりとつながってゆく。




解説


いま最も繊細で美しく、最も心震わせる映像を紡ぐベルギーのバス・ドゥヴォス


長編第1作『Violet』が2014年ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門で審査員大賞を受賞。続く長編第2作『Hellhole』も2019年の同映画祭パノラマ部門に選出されると、カンヌ国際映画祭監督週間では長編3作目『ゴースト・トロピック』が正式出品となる。最新作『Here』は2023年のベルリン国際映画祭エンカウンターズ部門の最優秀作品賞と国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)の2冠に輝く。いずれも多言語・多文化が共生し「ヨーロッパの縮図」とも言われるベルギーにおいて、現代社会では見落とされてしまう些細な日常の断片をすくい上げて描くスタイルが特徴的だ。16mmフィルムの淡い美しさをたたえたスタンダードサイズの映像と、唯一無二のサウンドスケープを響かせるブレヒト・アミールのギター、ゆるやかに展開してゆく物語に身を委ねると、ふだんは見落としがちな、人のさりげない優しさや思いやりに気づかせてくれる。


「ヨーロッパの縮図」
多言語・多文化が共生する街


『Here』はベルギー、ブリュッセルの移民社会を背景に物語を描いている。ベルギーはヨーロッパの中心に位置しているため、歴史的に様々な国に占領されてきた一方、国際的な交流も盛んだった。現在は、欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)の本部が首都ブリュッセルにあるため、欧州の政治の中心地であり、ヨーロッパの交差点とも言われる。
ベルギーは、1830年に王国となったが、宗教観の違いなどもあり連邦制度となり、全国の中央政府と、ブリュッセル首都圏、フランダース、ワロンの3つの地域政府に別れ、各地域で異なる言語を公用語としてきた。バス・ドゥヴォス監督はフランダース出身で、母語はオランダ語系のフラマン語で、映画もフランダースのファンドから助成されているが、映画はブリュッセルを舞台にしていて、主にフランス語が使用されている。
バス・ドゥヴォス監督は、2019年のカンヌ国際映画際のインタビューで「ブリュッセルは異なる国から移住してきた多くの人々でひしめきあい、それぞれがここをホームとして暮らそうとしています。ブリュッセルをさらに特異な都市にしているのは多言語都市であることです。ここでは会話の始めに自分が話していることを理解できるか確認する事が頻繁にあります。そのような街で私は何を頼りに人は他者と繋がれば良いのか常々考えています。」と語った。

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