上映予定の映画



第50回 トロント国際映画祭(2025年)Special Presentations部門 公式出品


あなたは、人生を教えてくれた


ピエタ院で孤独に生きる一人の少女チェチリアが、ヴィヴァルディの指導のもと、 ヴァイオリンの才能を開花させ成長していく姿と、己の才能が評価されることを渇望する音楽家ヴィヴァルディの内なる野望を描く、音楽に情熱を捧げ、未来の希望を切り開こうとする師と愛弟子の物語。イタリアのテレビドラマ『アート・オブ・ジョイ』で注目されたテクラ・インソリアがチェチリア、『眠れる美女』のミケーレ・リオンディーノがヴィヴァルディを演じた。監督・脚本を手がけたのはイタリアを代表するオペラ演出家で、ミラノ・コルティナ冬季オリンピックの開・閉会式でクリエイティブディレクターを務めたダミアーノ・ミキエレット。

2025年製作/110分/G/イタリア・フランス合作
原題または英題:Primavera
配給:彩プロ


あらすじ



1716年、ヴェネツィアのピエタ院。赤ちゃんポストに置き去りにされたチェチリアは、 母の姿も愛情も知らずにこの院で育ち、毎晩こっそりベッドから抜け出してはろうそくの灯りで、 宛名のない母への手紙を綴っていた。院から出て外の世界で暮らすには、母親が迎えに来るか、貴族に見いだされ結婚するかしかなかった。結婚も貴族から院への寄付が前提で、持ちつもたれつの関係であった。そんな中、ピエタ院にアントニオ・ヴィヴァルディがヴァイオリン教師として赴任すると、 卓越したヴァイオリンの技術を持つチェチリアを見出し、第一ヴァイオリンのリーダーに任命する。ヴィヴァルディからの厳しい練習に耐え、ヴァイオリンの腕があがっていくチェチリア。いつしか二人は心を通わせるようになる。そんな折、ピエタ院が決めたチェチリアの結婚相手である将校がトルコとの戦争から戻り、結婚が迫ったある日、事件が起こる……。




解説


1716年ヴェネツィア、音楽に情熱を捧げ
希望を切り開いていく師と愛弟子の物語


ヴァイオリン協奏曲「四季」の作曲家として広く知られるアントニオ・ヴィヴァルディは、 バロック時代を代表する作曲家の一人でありながら、その作品は200年にわたり忘れ去られていた。20世紀初頭、偶然発見された大量の自筆譜によって、ヴィヴァルディへの関心は高まり、 その才能は世界中で再評価された。幼少期から名手として有名だった父からヴァイオリンを学んでいたヴィヴァルディは25歳で司祭になるが、ソナタ集などを出版し、音楽家としての道を歩んでいた。同年、ピエタ院のヴァイオリン教師に任命され、少女たちに音楽を教え始めると、その演奏は輝き、世界最高のオーケストラと賞され、ヨーロッパ各地の貴族や知識人たちを魅了していった。そして、ピエタ院で奉職中、彼の代表作となる「四季」やオラトリオ「勝利のユディータ」が誕生した。本作はピエタ院で孤独に生きる一人の少女チェチリアが、ヴィヴァルディの指導のもと、 ヴァイオリンの才能を開花させ成長していく姿と、己の才能が評価されることを渇望する音楽家ヴィヴァルディの内なる野望を描く、音楽に情熱を捧げ、未来の希望を切り開こうとする師と愛弟子の物語。


イタリアの実力派たちの共演


監督は、オペラ演出家として世界中に名を馳せ、ローレンス・オリヴィエ賞受賞歴を持つダミアーノ・ミキエレット。彼が大切にする二つのテーマ ー 音楽と第二の故郷・ヴェネツィア ー を題材にするティツィアーノ・スカルパの小説「ヴィヴァルディと私」(河出書房新社刊 発行時「スターバト・マーテル」)を原作に、ヴィヴァルディがピエタ院で才能を開花させた少女の知られざる物語を映画化。撮影はヴェネツィアとローマで行われ、現存していないピエタ院の内部シーンはローマ北東部のヴィコヴァーロにある教会で、また、デンマーク国王への室内コンサートは貴族の宮殿として建てられた豪華な屋敷で撮影が行われ、18世紀のヴェネツィアに存在した世界を見事に描き出した。チェチリアを演じるのはTVシリーズ『The Art of Joy』で主役を演じ、イタリアのアカデミー賞と称されるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で最優秀主演女優賞と新人賞を受賞した、イタリア映画界で最も活躍が期待される女優、テクラ・インソリア。教え子の才能に嫉妬するも、彼女を応援するアントニオ・ヴィヴァルディを演じたのは、TVドラマ『ヤング・モンタルバーノ』シリーズで国民的人気を博し、映画のみならず舞台でも活躍する実力派俳優、ミケーレ・リオンディーノ。

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第78回 カンヌ国際映画祭(2025年)「ある視点」部門出品


それは建築か、思想か。


パリのランドマーク「新凱旋門」誕生の舞台裏で国家プロジェクトに翻弄された建築家の数奇な運命を、実話をもとに描いたヒューマンドラマ。ジャーナリストのロランス・コセによる著書『新凱旋門物語 ラ・グランダルシュ』を原作に、ステファン・ドゥムースティエが監督を務め、脚本も手がけた。『ザ・スクエア 思いやりの聖域』のクレス・バングが主人公スプレッケルセンを演じ、彼と協働するフランス人建築家アンドリュー役で『落下の解剖学』のスワン・アルロー、彼らの間を立ち回る官僚シュビロン役で俳優としても活動する映画監督グザビエ・ドランが共演。2025年・第78回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門出品。

2025年製作/106分/G/フランス・デンマーク合作
原題または英題:L'inconnu de la grande Arche
配給:ミモザフィルムズ


あらすじ



1983年、パリ。ミッテラン大統領はフランス革命200周年を祝う新モニュメントの建設を構想していた。国際設計コンペで選ばれたのは、無名のデンマーク人建築家ヨハン・オットー・フォン・スプレッケルセン。イタリア・カッラーラ産の大理石によるキューブ状のアーチと、そのふもとに雲のような屋根が浮かぶ大胆なプランは、大統領の心を射止め、彼を一夜にして時の人にした。しかし、完璧を追い求める彼の前には、予算や政治的圧力、周囲の思惑が立ちはだかる。理想を貫くか、現実に折り合いをつけるか。巨大プロジェクトの渦中で、一人の建築家が下す“ある決断”とは――。




解説


パリの名所「新凱旋門」建設の舞台裏


エッフェル塔や凱旋門に次ぐパリのモニュメント、通称「新凱旋門(グランダルシュ)」。ルーヴル美術館のガラスのピラミッドから一直線に連なる「パリの歴史軸」上にそびえ、パリ西部郊外のデファンス地区に建つ、ひと際異彩を放つキューブ状の巨大建築だ。 その完成の裏には、ひとりの名もなき建築家の運命を揺るがした、知られざる物語があった。本作は史実を基に、理想と政治の駆け引きに翻弄されながらも国家的プロジェクトに挑んだ建築家の数奇な人生を、圧倒的な没入感で描いたヒューマンドラマである。実力派キャストによるアンサンブルが作品に確かな説得力を与え、第78回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門出品、第51回セザール賞8部門ノミネートを果たすなど高い評価を獲得。日本での国立競技場や大阪万博をめぐる議論とも響き合う、必見の“建築ドラマ”。


新凱旋門(グランダルシュ)とは


パリ西部のビジネス街ラ・デファンス地区に建つキューブ状の巨大建築。フランス革命200周年を記念する国家プロジェクトとして建設され、1989年7月14日に落成。20世紀フランスを象徴する公共建築のひとつとして知られている。

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スペインを代表する名匠ホセ・ルイス・ゲリン
10年ぶりの新作⻑編


『シルビアのいる街で』(07)で世界中を魅了し、同じスペイン出身のヴィクトル・エリセ監督をして「現代スペインで最も優れた映画作家」と言わしめたホセ・ルイス・ゲリン監督。そんな彼が10年ぶりに手がけた待望の長編最新作は、スペイン・バルセロナ郊外に位置する、“よき谷”と名付けられたバルボナ地区を舞台とするドキュメンタリー。バルセロナ出身のゲリン監督が3年の歳月をかけて実際に暮らす人々へカメラを向け、その記憶や想い、人と土地との深いつながりを映し出した珠玉の一作。

2025年製作/122分/G/スペイン・フランス合作
原題または英題:Historias del buen valle
配給:コピアポア・フィルム


あらすじ



スペイン、バルセロナ郊外に位置するバルボナ地区。“よき谷”と名付けられたこの場所は川や線路に囲まれ、開発から取り残された陸の孤島でありながら、大都市の近くとは思えないほどの豊かな自然に恵まれた理想郷のようでもある。ここには20世紀半ばから移り住んだ住民の家族と、最近になってやってきた新世代の移民たちが共に暮らしている。文化や生活スタイルは異なるものの、子供たちはともに川で遊び、誰もがよく食べて飲んで、歌い、踊り、ひとときの安らぎを得る。そんな都会のオアシスに、新しく鉄道増設の計画が持ち上がった。住民説明会が開かれ、一部の人々は立ち退きを迫られるが……。




解説


⾏ったことがないのになぜか懐かしい、
ある⼟地とそこに暮らす⼈々の物語────


登場人物は実際にバルボナ地区に暮らす住民たち。地元で長年生活してきた者はもちろん、インド、ジャマイカ、ロシア、ウクライナなど世界中から集まってきた人たちを、バルセロナ出身のゲリンがインタビューするところから始まり、3年の歳月をかけ、愛情を込めて彼らの生活をフィルムに収めた。亡き妻を思い涙する老人、戦火から逃れてきた母娘、植物に話しかける果樹園の家族、ここではないどこかを夢見る若者。住民の数だけ人生があり、人生の数だけ喜びや悲しみがある。それが幾重にも重なり響き合って、バルボナの歴史が鮮やかに綴られ、いつしか観る者を過去、現在、未来までつながった時間の旅へと誘う。ここに来れば忘れかけていたものを思い出させてくれる。そんな宝物のような映画が誕生した。

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第64回 ヴェネチア国際映画祭(2007年)コンペティション部門 正式出品


映画芸術の最前線を切り開くスペインの鬼才


スペインの名匠ビクトル・エリセ監督が「現代スペインで最も優れた映画作家」と称賛したことでも知られる、スペインの俊英ホセ・ルイス・ゲリン監督が2007年に発表した長編劇映画。緻密な音響設計と光溢れる映像美で唯一無二の映画世界を築き上げ、2007年・第64回ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門に正式出品された。ゲリン監督の10年ぶりとなる新作『よき谷の物語』の公開を記念し、幻の名作とされる本作のリバイバル上映が決定。当館では9月26日(土)、1日限りの特別上映。

2007年製作/85分/スペイン・フランス合作
原題または英題:En la ciudad de Sylvia
配給:コピアポア・フィルム

※本作は前売・当日ともに、1,300円となっております


あらすじ



ヨーロッパの古都にあるホテルの一室で目覚めた画家志望の青年は、街のカフェで、かつてバーで会ったことのある美しい女性シルビアの姿を見つける。青年はそのシルビアと思しき女性を追いかけ、街中をさまよい歩くが……。




解説


6年前に出会った
美しい女の面影を求めて、
青年はその街をさまよった。


監督自身の実体験を基に、19世紀フランスのロマン派詩人ジェラール・ド・ネルヴァルの『シルヴィー』からヒントを得て製作された本作は、6年前に愛しあった女性シルビアの面影を求めて想い出の地をさまよう画家志望の青年のオブセッションに満ちた恋物語。フランスの古都ストラスブールを舞台に、アルフレッド・ヒッチコックの『めまい』('58)を彷彿とさせるサスペンスに満ちた美女の追跡劇が緻密な音響設計と光溢れる美しい画面の連鎖で展開され、見るものをどこも知らぬ異空間へと誘う。

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