上映した映画



第78回 カンヌ国際映画祭(2025年)パルムドール受賞
第98回 アカデミー賞(2026年)脚本賞・国際長編映画賞(フランス代表)ノミネート
第83回 ゴールデングローブ賞(2026年)作品賞、監督賞、脚本賞、非英語作品賞ノミネート


<報復殺人>の行き着く先はー
イランの巨匠ジャファル・パナヒ監督最新作


イランの巨匠ジャファル・パナヒ監督が自身の二度にわたる投獄経験と、刑務所で出会った人々のリアルな声から着想を得て手がけた本作は、2025年・第78回カンヌ国際映画祭で最高賞となるパルムドールを受賞した。『チャドルと生きる』(2000)でヴェネチア国際映画祭金獅子賞、『人生タクシー』(2015)でベルリン国際映画祭金熊賞を受賞しており、本作のパルムドール受賞により世界三大映画祭のすべてで最高賞を獲得。これは史上4人目の特筆すべき快挙となった。

2025年製作/103分/G/フランス・イラン・ルクセンブルク合作
原題または英題:Un simple accident
配給:セテラ・インターナショナル


あらすじ



かつて不当に投獄されたワヒドは、ある偶然の事故によって、⼈⽣を奪った残忍な義⾜の看守と出会う。ワヒドは咄嗟に男を拘束し、荒野に⽳を掘って埋めようとするが、男は「⼈違いだ」と⾔う。実はワヒドは、看守の顔を⾒たことがなかった。男は、本当に復讐相⼿なのか。⼀旦復讐を中断し、看守を知る友⼈を訪ねるが・・・。




解説


世界三大映画祭すべての最高賞を制覇!


ウェス・アンダーソン、アリ・アスターら著名監督の新作や『センチメンタル・バリュー』『シークレット・エージェント』などの話題作が集まった第78回カンヌ国際映画祭で、最高賞のパルムドールを受賞。イラン政府からの弾圧で映画制作や渡航を禁止されながらも、映画を作り続けてきたジャファル・パナヒ監督。『チャドルと生きる』でヴェネチア国際映画祭金獅子賞、『人生タクシー』でベルリン国際映画祭金熊賞を受賞し、本作で世界三大映画祭すべての最高賞を制覇、闘う巨匠へ世界が熱狂的な賛辞を贈った。第98回アカデミー賞 脚本賞・国際長編映画賞(フランス代表)にノミネートされ、オスカー受賞も有力視される必見の一作。


ユーモアとスリルに満ちた
社会派サスペンスの最高峰


ある”偶然の事故”を発端とする本作は、パナヒ監督自身の二度の投獄経験や同じ境遇の人々の声から着想を得て映画化。主人公ワヒドが出会った男は、本当に復讐を果たすべき相手なのか?不当に投獄された過去を持つ男女が憎い看守へ復讐を果たそうと迷走する予測不能な物語は、渦巻く重厚なスリルと深遠なミステリー、人間味豊かなユーモア、そしてイランの現実が渾然一体となり、斬新な社会派サスペンスへと変容を遂げていく。戦慄を誘う衝撃なラストシーンは、誰かと語り合わずにはいられない。強烈な映画体験がここにある。

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第76回 カンヌ国際映画祭(2023年)コンペティション部門 出品作品
第76回 ロカルノ国際映画祭(2023年)観客賞


変えられる
この場所には、希望があるから


イギリスの巨匠ケン・ローチが、『わたしは、ダニエル・ブレイク』『家族を想うとき』に続く、イギリス北東部3部作の最終章として撮りあげたドラマ。ローチ監督と数々の名作でタッグを組んできたポール・ラバーティが脚本を手がけ、温かくもリアリズムあふれるまなざしで描き出す。パブの店主TJ役に、『わたしは、ダニエル・ブレイク』『家族を想うとき』にも出演したデイブ・ターナー。2023年・第76回ロカルノ国際映画祭で観客賞を受賞。第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。

2023年製作/113分/G/イギリス・フランス・ベルギー合作
原題または英題:The Old Oak
配給:ファインフィルムズ


あらすじ



イギリス北東部、とある炭鉱の町で唯一のパブ、「オールド・オーク」。活気溢れる時代から30年の時を経て、今は厳しい状況に陥っているが、町に住む人々にとっては最後の砦となる止まり木のような存在だ。店主のTJ・バランタインは、試行錯誤しながらなんとかパブを維持しているが、町がシリア難民を受け入れ始めたことで、パブは居場所を争う諍いの場になってしまう。先行きを危ぶむTJだったが、カメラを持ったシリアの女性ヤラと出会い、思いがけない友情を育むことになる。果たして、彼らは、互いを理解する方法を見つけられるのだろうかー?



解説


分断と排斥の世に放つ
ケン・ローチ監督最後のメッセージ


市井の民を見つめ、彼らの生活と闘争を描き続けてきたイギリスの巨匠、ケン・ローチ監督。彼が自ら「最後の作品」と語っているのが第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された『オールド・オーク』だ。『わたしは、ダニエル・ブレイク』『家族を想うとき』に続く「イギリス北東部3部作」の最終章となる本作の舞台は、とある炭鉱の町で最後に残ったパブとして親しまれていた「オールド・オーク」。人々が集い、安らぎを見出す場所だったはずのパブは、シリア難民の受け入れにより、諍いの場に変貌してしまう。オーナーのTJはシリアから来た女性ヤラと出会い、友情を育む中で、困窮する町の人々とシリア難民のための食堂を開こうとするが…。数々の名作を共に世に送り出してきた脚本家ポール・ラヴァティとのタッグによる、社会と人々への温かくもリアリズム溢れる眼差しが映し出すドラマは、深い感動を呼び、世界中で激賞されている。現実社会にも起こっている分断や争いと、違いを受け入れながら共存していくことへの希望についての考察を我々に促すだろう。


ケン・ローチ Ken Loach


英ウォリックシャー州出身。オックスフォード大学に進学後、BBCでテレビドラマやドキュメンタリーを手掛ける。67年、『夜空に星のあるように』で映画監督デビューを果たし、続く『ケス』(69)も高い評価を得る。『麦の穂をゆらす風』(06)、『わたしは、ダニエル・ブレイク』(16)でカンヌ国際映画祭最高賞パルムドールを2度受賞している。近作は2019年カンヌ国際映画祭コンペティション部門にノミネートされた『家族を想うとき』。

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第74回 ベルリン国際映画祭(2024年)最優秀助演俳優賞(銀熊賞)
第74回 ベルリン国際映画祭(2024年)コンペティション部門 出品作品


実話に基づく世界的ベストセラーの映画化


『オッペンハイマー』のキリアン・マーフィが主演を務め、アイルランドの小説家クレア・キーガンによるベストセラー小説『ほんのささやかなこと』を映画化。アイルランドに実在したマグダレン洗濯所の人権問題を背景に、社会が長く黙認してきた現実を知ってしまった者の葛藤と決断を描く。『奇跡の海』のエミリー・ワトソンが修道院の院長シスター・メアリーを演じ、2024年・第74回ベルリン国際映画祭で最優秀助演俳優賞を受賞。原作小説にほれ込んだマーフィが自ら映画化を希望し、初めて製作を担当。マーフィ主演のテレビドラマ『ピーキー・ブラインダーズ』のティム・ミーランツが監督を務めた。

2024年製作/98分/G/アイルランド・ベルギー合作
原題または英題:Small Things Like These
配給:アンプラグド


あらすじ



舞台は1985年、アイルランドの小さな町。炭鉱商人として生計を立て、家族と慎ましく暮らすビル・ファーロング(キリアン・マーフィー)は、クリスマスが近づくある日、石炭を届けに訪れた地元の修道院で、目を背けたくなる現実を目撃する。そこに身を置く少女から「ここから出してほしい」と懇願され、若い女性たちが行き場もなく苦しんでいる現実と向き合うことに。見て見ぬふりをすることが賢明だと理解しながらも、良心の呵責に悩むビル。そんな彼が、ついに下す決断とは――。




解説


キリアン・マーフィーが挑んだ意欲作


第96回アカデミー賞®主演男優賞に輝いた『オッペンハイマー』(23)の後、 キリアン・マーフィーが次なる挑戦として選んだ意欲作。『コット、はじまりの夏』(22)の原作者として知られ、現代アイルランドを代表する作家クレア・キーガンの世界的ベストセラー小説「ほんのささやかなこと」が原作。マーフィーがこの小説にほれ込み、映画化を希望。『オッペンハイマー』撮影中にマット・デイモンに企画を持ち掛け、ベン・アフレックも加わり実現した。マーフィーは本作で初めてプロデューサーとしても名を連ね、キャスティングにも参加。本作は、アイルランドに実在した“マグダレン洗濯所”の人権問題を背景に描かれる人間ドラマ。社会が長く黙認してきた現実を前に、「知ってしまった個人はどう振る舞うのか」を静かに問いかける。言葉を抑え、沈黙と内面の葛藤を徹底的に演じ切るマーフィーの姿が、深い余韻を残す一作。2024年の第74回ベルリン国際映画祭において、シスター・メアリーを演じたエミリー・ワトソンが見事に銀熊賞(最優秀助演賞)を受賞した。

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第75回ベルリン国際映画祭 正式出品作品
ドイツ映画賞4部門(作品賞・編集賞・主演女優賞・助演男優賞)ノミネート


伝説と呼ばれるコンサートの舞台裏


世界的ジャズピアニストのキース・ジャレットが1975年1月24日にドイツのケルン歌劇場で行った、ライブアルバムの名盤『ザ・ケルン・コンサート』としても知られる伝説的なコンサートが、開催中止寸前のトラブルに見舞われるも、弱冠18歳の女性プロモーターの機転と行動力で実現したという、史実に基づき映画化。ドイツの新鋭マラ・エムデがヴェラ役を演じ、キース・ジャレット役を『ファースト・カウ』『セプテンバー5』などで知られるジョン・マガロが演じた。

2025年製作/116分/PG12/ドイツ・ポーランド・ベルギー合作
原題または英題:Köln 75
配給:ザジフィルムズ


あらすじ



ドイツ・ケルンに住む高校生ヴェラ・ブランデスは、音楽好きでナイト・クラビングも大好き。厳格な歯科医の父親への反抗心もあり、ふとしたきっかけで来独ミュージシャンのツアーをブッキングするバイトを始めることになる。仲間たちの協力を得ながら、持ち前のバイタリティを発揮して仕事が軌道に乗り始めた頃、ベルリンのジャズ・フェスティバルに出向いた彼女は、アメリカの天才ピアニスト キース・ジャレットの演奏を聴き、雷に打たれるほどの衝撃を受け、キースのケルン公演の開催を決意する。いくつもの困難を乗り越えて当日を迎えるが、舞台にはキースが希望していたものではない違う種類のピアノが用意されていて、キースは演奏を拒否。開演時間が迫りくる中、ヴェラは……。




解説


世界で最も売れたジャズ・ソロ・アルバム
誕生の裏に存在した物語


1975年1月24日にケルン歌劇場で、のちに伝説と呼ばれることになるコンサートが開催された。 その夜、キース・ジャレットはソロでピアノの即興演奏をし、この録音は後にECM(1969年設立の名門ジャズ・レーベル)から『ザ・ケルン・コンサート』として発売され、世界的ベストセラーとなる。その舞台裏をドラマチックに映画化したのが本作である。監督は、「THE TICKET」(’16)で高い評価を得たイド・フルーク。主演にはテレビ『My Daughter Anne Frank』(’15)でアンネ・フランク役を演じたマラ・エムデを抜擢。キース・ジャレット役には『ファースト・カウ』(‘19)、『セプテンバー5』(’24)のジョン・マガロが扮し、アーティステックで情熱的なキース像を再現している。

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1984年5月、当時32歳
坂本龍一が見つめた《東京の音》


1985年に製作された日仏合作による坂本龍一のドキュメンタリー。監督は、ジェリー・ルイスやシャンタル・アケルマンのポートレート撮影なども手がけたニューヨーク出身のエリザベス・レナード。もともとはフランスのテレビ放送用に作られた作品で、日本では1985年の第1回東京国際映画祭などで上映された。その後はVHSとDVDで発売されたが入手困難になっていた。今もなお人々の心に生き続ける世界的音楽家・坂本龍一、若き日のポートレートを通して《東京の音》を体感できる幻のドキュメンタリーが、16ミリフィルムから修復されてデジタル化された4Kレストア版で約40年の時を経てついに劇場公開を迎える。

1985年製作/62分/G/フランス・日本合作
原題または英題:Tokyo melody: un film sur Ryuichi Sakamoto
配給:エイベックス・フィルムレーベルズ


あらすじ



この60分余りの映像には、坂本の貴重なインタビューやスタジオでのレコーディング風景に加え、彼が出演したCM、YMOの散開コンサート、大島渚監督『戦場のメリークリスマス』(83)の印象的な一場面などが収められている。渋谷スクランブル交差点、新宿アルタ、原宿の竹の子族……80年代の息づくような東京の景色とともに映し出されるのは、幼少期の記憶、変わりゆく文化と社会、創作のプロセス、そして自らが追い求める音楽について語る、当時32歳の坂本の姿だ。育った街に耳を澄まし、時代の流れを感じながら、彼はどのような未来を見つめていたのか——今もなお人々の心に生き続ける世界的音楽家・坂本龍一、若き日のポートレートを通して《東京の⾳》を体感できる幻のドキュメンタリーが、約40年の時を経てついに劇場公開を迎える。



解説


「教授」の日常を初めてフィルムに収めた、幻のドキュメンタリー


「フランスのテレビ番組のためにドキュメント・フィルムを撮らせてほしい」1983年、デヴィッド・シルヴィアンのレコーディングに立ち会うため、ベルリンに滞在していた坂本龍一のもとを訪れた監督、エリザベス・レナードはこう告げた。それから1984年5月。坂本が4枚目のソロアルバム『音楽図鑑』を制作し始めた頃、東京でわずか1週間という短期間で撮影が行われた。レナード監督を含めた6名の小さなチームは、日本という国を、東京という街を、そして坂本龍一という音楽家を記録した。完成後の1985年には、ロッテルダム、ロカルノ、サンパウロなどの国際映画祭で上映、日本では同年6月9日に第1回東京国際映画祭で上映された。1986年、フランスでテレビ放映されたのち、発売されたVHSとDVDも長らく入手困難な状況が続いていたが、近年になり倉庫に眠っていた16mmフィルムが発見され、修復を経てデジタル化が実現した。


坂本龍一
Ryuichi Sakamoto


1952年生まれ、東京都出身。東京藝術大学大学院修士課程修了。
1978年『千のナイフ』でソロデビュー。同年、YMOの結成に参加。1983年に散開後は『音楽図鑑』、『BEAUTY』、『async』、『12』などを発表、革新的なサウンドを追求し続けた姿勢は世界的評価を得た。映画音楽では『戦場のメリークリスマス』(83/監督:大島渚)で英国アカデミー賞作曲賞を、『ラストエンペラー』(87/監督:ベルナルド・ベルトルッチ)でアカデミー賞作曲賞、ゴールデングローブ賞、グラミー賞など多数受賞。「LIFE」、「TIME」などの舞台作品や、2018年 piknic/ソウル、2021年M WOODS/北京、2023年-2024年 M WOODS/成都、2024年-2025年 東京都現代美術館/東京での大規模インスタレーション展など、アート界への越境も積極的に行なった。環境や平和問題への言及も多く、森林保全団体「more trees」を創設。また「東北ユースオーケストラ」を設立して被災地の子供たちの音楽活動を支援した。2023年3月28日死去。

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