上映した映画



多彩で、情熱的で、刺激的。
誰も知らない「美術館の舞台裏」へ、ようこそ。


モネ、ルノワール、ゴッホ、ピカソ……誰もが知る名画や数々の傑作を有する「国立西洋美術館」。大正から昭和にかけ、稀代のコレクターとして活躍した松方幸次郎の「松方コレクション」を基礎に、絵画、彫刻、版画、素描などおよそ6,000点の作品を所蔵し、東アジア最大級の西洋美術コレクションを誇る。2016年には世界的建築家ル・コルビュジエの建築作品のひとつとして世界遺産に登録され、日本を代表する美術館として、国内外から多くの来場者を集めている。

2020年10月、ル・コルビュジエが構想した創建時の姿に近づける整備のために休館した美術館の内部にカメラが入り、一年半にわたり密着。そこから見えてきた、美術館の「ほんとうの姿」とは…。アートの見方をがらりと変える、必見のドキュメンタリーが誕生した。

2023年製作/105分/G/日本
配給:マジックアワー


あらすじ



20世紀を代表する建築家ル・コルビュジエが設計し、2016年に世界文化遺産に登録された、誰もが知る名画や数々の傑作を有する東京・上野の国立西洋美術館の舞台裏を描いたドキュメンタリー。2020年10月より1年半かけて行われた整備工事のため、美術館が有する数々の所蔵作品の“お引越し”をカメラが記録。通常は非公開の収蔵庫の様子や、展示作品がすべて取り払われる様子など、普段は決して見られない驚きの光景が目の前に広がる。そこから見えてきた、美術館の「ほんとうの姿」とは…。アートの見方をがらりと変える、必見のドキュメンタリーが誕生した。




解説


ロダン彫刻「考える人」がぐるぐる巻きに、「カレーの市民」が宙吊りに…!? 
知られざる、美術品の“お引越し”作業


2020年10月より1年半かけて行われた整備工事のため、美術館が有する数々の所蔵作品の“お引越し”をカメラが記録。通常は非公開の収蔵庫の様子や、展示作品がすべて取り払われる様子など、普段は決して見られない驚きの光景が目の前に広がる。国立西洋美術館は、2022年4月9日にリニューアルオープン。ル・コルビュジエによる当初の前庭の設計意図が正しく伝わるように、1959年開館当時の姿に極力近づけた姿をお披露目した。


美術館で働く、美を守り、伝える人々


所蔵品の保存修復作業、コレクションの調査研究や海外・地方美術館への巡回展、特別展の企画開催…美術館の仕事は多岐にわたる。館長、美術史系学芸員、保存科学や情報資源の研究者、修復家など、専門知識と技術を有し「美」を守り支える、美術館のなかで働く人々の情熱と活動に迫る。


美術館のすぐそばに迫る“危機的状況”とは—


絢爛たる名画、傑作の数々が来場者を楽しませる一方で、美術館をとりまく現状は厳しさを増している。関係者や専門家へのインタビューからは、日本の文化行政が抱える難問と、彼らの目前に迫る“危機的状況”が浮かびあがる。

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第34回東京国際映画祭「アジアの未来部門」正式出品


忘れたい過去と隠したい今が交差する


強風吹き荒れるある日、横浜郊外のとある団地のベランダから鉢植えのパンジーが落ち、通りがかりの住民に直撃し死亡する事故が起こった。
本当に事故なのか、それとも事件なのか、ベランダから鉢植えが落ちた住民への視線、隣に住む認知症の父に疑念を持つ息子、亡くなった住人の家族、それぞれが出会い、そして真実が明らかになったとき・・・。

「ケンとカズ」のカトウシンスケが主演を務め、吉行和子、高橋長英が共演。
2021年に30周年を迎えた2スクリーンの老舗の映画館である、横浜シネマ・ジャック&ベティの企画作品としてつくられた本作は、横浜のとある団地を舞台に、これが長編2作目となる横浜出身の奥田裕介監督がメガホンをとった。

2021年製作/115分/G/日本
配給:GACHINKO Film


奥田裕介監督来館! 2月3日(土)4日(日)



「誰かの花」の監督、奥田裕介(おくだゆうすけ)さんに舞台挨拶をしていただけることが決定しました。
以下が舞台挨拶のスケジュールです。


3日(土)
3回目(16:30ー)上映後、4回目(19:30ー)上映後

4日(日)
1回目(10:30ー)上映後


主催:シネマポスト、一般社団法人コミュニティシネマセンター
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(次代の文化を創造する新進芸術家育成事業))
独立行政法人日本芸術文化振興会




経歴


1986年生、 神奈川県出身。
日本映画学校(現・日本映画大学) で映画制作を学ぶ。 映画やドラマの現場で演出部や制作部を経験。
ドキュメンタリー映画の構成、 ミュージックビデオの脚本・監督、 舞台でも脚本提供や作・演出など多岐にわたり活動。本作が劇場公開作品第二作目となる。


作品


映画
世界を変えなかった不確かな罪(2017年)–監督・脚本・編集
誰かの花(2021年)–監督・脚本


あらすじ



鉄工所で働く孝秋は、薄れゆく記憶の中で徘徊する父・忠義とそんな父に振り回される母・マチのことが気がかりで、実家の団地を訪れる。しかし忠義は、数年前に死んだ孝秋の兄と区別がつかないのか、彼を見てもただぼんやりと頷くだけであった。強風吹き荒れるある日、事故が起こる。団地のベランダから落ちた植木鉢が住民に直撃し、救急車やパトカーが駆けつける騒動となったのだ。父の安否を心配して慌てた孝秋であったが、忠義は何事もなかったかのように自宅にいた。だがベランダの窓は開き、忠義の手袋には土が…。一転して父への疑いを募らせていく孝秋。「誰かの花」をめぐり繰り広げられる偽りと真実の数々。それらが亡き兄の記憶と交差した時、孝秋が見つけたひとつの〈答え〉とは。




解説


誰かの想いと、悲劇と救い


強風吹き荒れるある日、団地のベランダから落ちた植木鉢が住民に直撃し死亡する。これは事件なのか事故なのか、家族や周囲の者たちの疑念と葛藤が渦巻いていく。サスペンス調で展開しながら、被害者と加害者の両者の心情を丁寧に描いたヒューマンドラマとなっている本作は、横浜出身奥田裕介監督の「世界を変えなかった不確かな罪」(2017)以来となる長篇第2作目となり、横浜黄金町の老舗の映画館、横浜シネマ・ジャック&ベティの30周年企画としてつくられた。

横浜シネマ・ジャック&ベティは横浜黄金町で30年営業を続ける2スクリーンの老舗の映画館であり、映画愛あふれるセレクトによる作品上映は地元のみならず県外にも多くのファンを持つ。そして映画界の重鎮の映画監督・俳優は元より若手映画監督からも愛されている映画館だ。

キャストはカトウシンスケ(「ケンとカズ」小路紘史監督)をはじめ、吉行和子(「東京家族」山田洋次監督)、高橋長英(「それでもボクはやってない」周防正行監督)の他、和田光沙、テイ龍進、篠原篤など実力派俳優、若手俳優・村上穂乃佳、横浜に縁の深い大石吾朗、渡辺梓、寉岡萌希、堀春菜、笠松七海らがジャック&ベティ30周年映画に集結した。本格的な映画出演がはじめての子役・太田琉星は素晴らしい演技力をみせている。

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2022年 第79回ヴェネチア国際映画祭 審査員特別賞受賞


“熊”とは何か? その答えは映画の中にある


長編デビュー作『白い風船』(95)で第48回カンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)を受賞して以来、世界三大映画祭ほか主要映画祭にて高く評価され続けるイランの名匠ジャファル・パナヒ監督の最新作。

市井の人々の日常を通してイラン社会の置かれたリアルな現実を描き続けるも、政府から2010年に"イラン国家の安全を脅かした罪"として20年間の映画制作禁止と出国禁止を言い渡されたパナヒ監督。それでも抑圧に屈せず様々な方法で映画を撮り続け、2010年以降に本作を含めた5本の長編は全て極秘に撮影。あらゆる制約を回避し自身を映画の題材にすることで、ミニマムながら工夫と発想に富んだ豊かな映画を作り続ける、世界で最も勇敢な映画監督として知られている。

最新作『熊は、いない』でパナヒ監督は、イランの村からリモートで映画を撮影する監督役として主演を務める。撮影で滞在していたイランの小さな村で起きたあるトラブルに、監督自身が巻き込まれていくという物語だ。自国イランでは上映禁止だが、本作は見事、第79回ヴェネチア国際映画祭で審査員特別賞を獲得。日本でも第23回東京フィルメックスのオープニング作品として上映されると「圧巻の一本!」「脳裏に焼き付いて離れない」と目の肥えた映画ファンたちがこぞって絶賛。世界から称賛される注目作がいよいよ公開。

2022年製作/107分/イラン
原題:Khers nist
配給:アンプラグド


あらすじ



国境付近にある小さな村からリモートで助監督レザに指示を出すパナヒ監督。偽造パスポートを使って国外逃亡しようとしている男女の姿をドキュメンタリードラマ映画として撮影していたのだ。さらに滞在先の村では、古いしきたりにより愛し合うことが 許されない恋人たちのトラブルに監督自身が巻き込まれていく。2 組の愛し合う男女が迎える、想像を絶する運命とは......。パナヒの目を通してイランの現状が浮き彫りになっていく。




解説


監督が尖り過ぎ、20年間映画製作&海外渡航禁止
それでも伝えたかった衝撃の“現実”に絶句


パナヒ監督は、市井の人々にスポットを当て、イランという国そのものが抱える問題や現実を描き出す作風で知られる名匠。それゆえに、厳格なイスラム国家であるイランでは「反体制的だ」として2010年に逮捕され、まさかの20年間の映画製作&海外渡航禁止を言い渡されることに……。


映画製作禁止なのに…不屈の精神で撮り続ける!
国内で上映禁止なのに…世界の映画祭で大絶賛!


2010年以降にも、本作を含む5本の長編を撮影したパナヒ監督。11年には、自宅軟禁の日々をドキュメンタリー風に記録した作品、その名も「これは映画ではない」を発表。映像の入ったUSBメモリをケーキに隠してカンヌ映画祭に応募し、キャロッスドール(黄金の馬車賞)を受賞しました。まさに、半端ない“不屈の精神”が伝わるエピソードです。

現在、パナヒ監督作品はイラン国内では上映禁止。それでも、カンヌ・ベルリン・ベネチアの三大映画祭を含む世界の映画祭で常に注目され、華々しい受賞歴を誇っています。

なかでも最新作「熊は、いない」は、パナヒ監督が逮捕&収監中であるにも関わらず、ベネチア映画祭で審査員特別賞を獲得する異例の事態に! 自身の置かれた苦境をバネに、あらゆる手を使って映画を撮り続ける。“表現の自由”を守り、反骨精神むき出しで、タブーに切り込むことも恐れない。そんなパナヒ監督が、どうしても届たかった“物語”……これは、見ない選択肢なんてないのでは?

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≪第76回カンヌ国際映画祭審査員賞受賞≫
≪2023年国際批評家連盟賞年間グランプリ≫
≪第96回アカデミー賞国際長篇映画賞部門フィンランド代表≫


カンヌ国際映画祭審査員賞に輝いたアキ・カウリスマキのラブストーリー。北欧の街ヘルシンキ。理不尽な理由で仕事を失ったアンサと、酒に溺れながらも工事現場で働くホラッパはある夜、カラオケバーで出会い、互いの名も知らぬまま、惹かれ合うが……。

2023年製作/81分/1.85:1/ドルビー・デジタル5.1ch/DCP/フィンランド・ドイツ
フィンランド語/原題:KUOLLEET LEHDET/英語題:FALLEN LEAVES
配給:ユーロスペース 提供:ユーロスペース、キングレコード


あらすじ



北欧の街ヘルシンキ。アンサは理不尽な理由で仕事を失い、ホラッパは酒に溺れながらも、どうにか工事現場で働いている。ある夜、カラオケバーで出会った2人は、互いの名前も知らぬまま惹かれ合う。だが、不運な偶然と現実の過酷さが、彼らをささやかな幸福から遠ざける。果たして2人は、無事に再会を果たし、想いを通い合わせることができるのか……?



取るに足らないバイオレンス映画を作っては自分の評価を怪しくしてきた私ですが、無意味でバカげた犯罪である戦争の全てに嫌気がさして、ついに人類に未来をもたらすかもしれないテ ーマ、すなわち愛を求める心、連帯、希望、そして他人や自然といった全ての生きるものと死んだものへの敬意、そんなことを物語として描くことにしました。それこそが語るに足るものだという前提で。

この映画では、我が家の神様、ブレッソン、小津、チャップリンへ、私のいささか小さな帽子を脱いでささやかな敬意を捧げてみました。しかしそれが無残にも失敗したのは全てが私の責任です。


アキ・カウリスマキ


解説


突然の監督引退宣言から6年。
最高のラブストーリーとともに、アキ・カウリスマキが帰ってきた!


2017 年、『希望のかなた』のプロモーション中に監督引退宣言をし、世界中のファンを悲嘆に暮れさせたアキ・カウリスマキ。それから6年、監督カウリスマキはあっけらかんと私たちの前に帰ってきた。可笑しみと切実さに満ちた、最高のラブストーリーを連れて。

新作『枯れ葉』の主人公は、孤独さを抱えながら生きる女と男。ヘルシンキの街で、アンサは理不尽な理由から仕事を失い、ホラッパは酒に溺れながらもどうにか工事現場で働いている。ある夜、ふたりはカラオケバーで出会い、互いの名前も知らないまま惹かれ合う。だが、不運な偶然と現実の過酷さが、彼らをささやかな幸福から遠ざける。果たしてふたりは、無事に再会を果たし想いを通じ合わせることができるのか? いくつもの回り道を経て、物語はカウリスマキ流の最高のハッピーエンドにたどりつく。


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ノスタルジックな風景と多様な音楽、とぼけたユーモア、溢れ出る映画愛。
悲痛な現実のなかで、それでも「愛」を信じつづけるために。


労働者 3 部作『パラダイスの夕暮れ』『真夜中の虹』『マッチ工場の少女』に連なる新たな物語として発表された『枯れ葉』には、ギリギリの生活を送りながらも、生きる喜びと人間としての誇りを失わずにいる労働者たちの日常が描かれる。

抑制された画面の中に映るノスタルジックなヘルシンキの風景、バンド演奏からカラオケまで自由自在な音楽の使い方、随所に散りばめられたとぼけたユーモア。また劇中には、主人公たちが初めてのデートで見に行く映画として、盟友ジム・ジャームッシュの『デッド・ドント・ダイ』が大胆に引用され、ゴダールやブレッソンの名前も登場。画面から溢れでる映画愛に、誰もがにやりと笑ってしまうはず。一方で、登場人物たちの横ではつねにロシアによるウクライナ侵攻のニュースが流れ、いま、私たちが生きる悲痛な現実を映し出そうとする意志が感じられる。カウリスマキ映画のなかでもかつてないほどまっすぐな愛の物語となった本作は、戦争や暴力がはびこる世の中で、それでもたったひとつの愛を信じつづける恋人たちの姿を通して、今を生きる希望を与えてくれる。


『トーベ/TOVE』のアルマ・ポウスティと、ユッシ・ヴァタネンの W 主演。
悲劇と喜劇の間をさまよい歩く、現代の恋のおとぎ話。


互いの名前も、電話番号も知らないまま恋に落ち、運命に振り回されながら想いを成就させようとする恋人たちを演じるのは、カウリスマキ映画には初出演となる二人。『トーベ/TOVE』でムーミンの作者トーベ・ヤンソンを演じ大きな注目を集めたアルマ・ポウスティと、『アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場』で高い評価を得たユッシ・ヴァタネン。

アルマ・ポウスティは、職場での理不尽な扱いに抗い、恋人の悪癖をきっぱりと諌める強さを持った現代の女性像を演じ、新しいカウリスマキ映画のヒロイン像を提示。ユッシ・ヴァタネンは、酒浸りで周囲を心配させながらも、どこか憎めない男の役をユーモアを交えて演じている。それぞれの友人役として、ヤンネ・ヒューティアイネン(『街のあかり』『希望のかなた』)、ヌップ・コイヴ(『希望のかなた』)が出演、そしてカウリスマキ映画には欠かせない名優“犬”の登場も忘れてはいけない。  




2022年 第79回ヴェネチア国際映画祭 労働・環境人材育成財団賞受賞


イザベル・ユペールが主演を務め、フランスの原子力会社の労働組合代表が国家的スキャンダルに巻き込まれていく姿を、実話を基に描いた社会派サスペンス。

世界最大の原子力企業アレバ社のフランス民主労働組合代表を務めるモーリーン・カーニーは、中国とのハイリスクな極秘取引を知り、会社の未来と従業員の雇用を守るため内部告発をする。やがてモーリーンは自宅で襲われるが、権力側は彼女の自作自演だと自白を強要。モーリーンは屈することなく、政府の閣僚や企業のトップを相手に捨て身の覚悟で立ち向かっていく。

共演は「デリシュ!」のグレゴリー・ガドゥボワ、「ヒトラー 最期の12日間」のアレクサンドラ・マリア・ララ。「ルーヴルの怪人」のジャン=ポール・サロメがメガホンをとり、サロメ監督と「ローズメイカー 奇跡のバラ」のファデット・ドゥルアールが共同で脚本を担当。

2022年製作/121分/PG12/フランス・ドイツ合作
原題:La Syndicaliste
営業:トリプルアップ
配給:オンリー・ハーツ


あらすじ



世界最大の仏原子力発電会社の労働組合代表モーリーン・カーニー(イザベル・ユペール)。
会社とその未来、従業員5万人の雇用を守るため、中国とのハイリスクな技術移転契約の内部告発者となったモーリーンが、自宅で何者かに襲われるというスキャンダラスな事件が起きる。
耐え難い肉体的暴力と、それを自作自演だと無理矢理供述させようとする権力側からの精神的暴力。
被害者から容疑者へという真逆の立場に追い込まれながら、屈することなく闘い続け、無罪を勝ち取るまでを描いた実話の映画化。
「エル ELLE」に続き、またも強烈な熱量をスクリーンに放つイザベル・ユペール。
2023年3月仏本国で公開され大ヒットした迫真のサスペンス。




解説


世界最大の原子力発電会社で秘された大スキャンダルが明るみに。
5万人の従業員を守ろうとした彼女に何があったのか?


イザベル・ユペールが、仏総合原子力企業アレバ(現オラノ)社のCFDT(フランス民主労働組合連盟)代表モーリーン・カーニーを演じる国家的スキャンダルを背景にした社会派サスペンス。
会社とその未来、そして従業員の雇用を守るため、中国とのハイリスクな技術移転契約の内部告発者となったモーリーンが、自宅で襲われるという肉体的、精神的暴力と、それを自作自演だとする精神的暴力に対し、屈することなく6年間闘い続け、無罪を勝ち取るまでを描いた実話の映画化だ。

監督は、これまでもイザベル・ユペール主演作品『ゴッドマザー』(2021)を手掛けたジャン=ポール・サロメ。彼は、襲撃事件後のモーリーンに寄り添い、警察も見出すことのできなかった事実を探し出して無罪に導いた仏雑誌「L’Obs」の記者カロリーヌ・ミシェル=アギーレの著書“LA SYNDICALISTE(組合活動家)”に出合い、本作の企画を立ち上げた。脚本は『ローズメイカー 奇跡のバラ』(2021)のファデット・ドゥルアール、撮影は『1640日の家族』(2022)のジュリアン・ハーシュ、音楽は『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』(2016)のブリュノ・クーレが担当。制作チームは、モーリーン・カーニーに脚本を提出し、彼女の納得がいくまでやり取りし、承諾を得た後に撮影に入った。

ジャン=ポール・サロメ監督は、容赦ない暴力と権力の中枢にある闇の真相やそれがもたらす政治的、経済的危機より、一人の人間であり、女性であるモーリーンが内面に得た傷、彼女の家族が直面したこと、利権と利益に固執するマッチョな保守派にとってなぜ彼女が排除すべき存在となったか、そして最悪の状況からなぜ彼女は立ち直ることができたのかを描くことに、重きを置いた。

映画には、仏最大の電力会社EDFや総合原子力企業アレバ社のCEOから当時の経済大臣アルノー・モンテブールまで、背景にあるだろう国家的スキャンダルに関与するプレイヤーが実名で登場する。にもかかわらず、政治的な映画であることよりも、モーリーンの痛みと並走したという印象が強く残るのはそのせいだ。

たぐいまれな知性と努力でアレバ社の労働組合のトップに就いたモーリーンは、正義を信じ、大勢の前で怯まずCEOを糾弾するなど率直に活動したあげく、邪魔者扱いされて地位を追われた上、暴力的な凌辱を受けて心神喪失したところに、尊厳を奪われて事件を捏造され、犯罪者の汚名を着せられる。不条理ともいえるこの状況をサロメ監督は、「モーリーンがどのように耐えきったのか」という観点から描いた。

 元アレバ社CEOでモーリーンの盟友だったアンヌ・ロベルジョンをマリナ・フォイスが、アンヌ・ロベルジョンの後任となったCEOリュック・ウルセルをイヴァン・アタルが、モーリーンの夫ジルをグレゴリー・ガドゥボアが演じている。第79回ヴェネチア国際映画祭 労働・環境人材育成財団賞受賞




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