上映した映画



第79回ヴェネツィア国際映画祭 アウト・オブ・コンペティション部門出品作品(2022)


デンマークの映画監督ヨルゲン・レスとアンドレアス・コーフォードによる
世界的に有名なジャズ・ミュージシャンたちの人生とそのプロセスを探求する映画


デンマークの実験的ドキュメンタリー映画監督、ヨルゲン・レスとアンドレアス・コーフォードが、ジャズ・ギタリストのヤコブ・ブロを追って、彼と共演してきた世代や国籍を超えた音楽家たちの生き様と交流を描いた作品。“ただひたすらテープを回す”という伝統的なジャズの手法で撮影されたレコーディング風景や、ジャズ・プレーヤーたちの日常に加え、彼ら自身が演奏することの感覚や音楽の意味について語ったポートレートが記録されている。14年間にも及ぶ長い音楽探求の旅のなかで、まさしくジャズが生まれている現場を映し出している。

2022年製作/92分/G/デンマーク
原題または英題:Music for Black Pigeons
配給:ディスクユニオン


あらすじ



北米、ヨーロッパ、日本を通して、撮影クルーはデンマークの作曲家ヤコブ・ブロを過去14年間追い続け、世代や国境を超えた彼らの音楽的交流を目撃してきた。“ただひたすらテープを回す”という伝統的なジャズの手法で撮影された今作では、現代ジャズを代表する音楽家たちの親密で即興的な瞬間を捉えており、彼らの個性的で豊かなスタイルはもちろん、セッションの中で生まれる独特のエネルギーや仲間意識にも焦点を当てている。予測不可能なライブ・ジャムの合間には、参加者たち自身が演奏することの感覚や音楽の意味について語ったポートレートが挟まれ、ジャズ・ミュージシャンとして生きる彼らの人生とそのプロセスに迫っている。リー・コニッツやポール・モチアンなど、撮影中に惜しくもこの世を去ったミュージシャンたちの最後の演奏を記録しており、先駆的なミュージシャンであった彼らへの心からの敬意を表した作品となった。彼らの多彩で親密なプロセスは、後世へと受け継がれるレガシーとなっていく。




解説


ジャズの生まれる瞬間をとらえた音楽ドキュメンタリー


即興音楽といわれるジャズはどのようにして生まれているのか。現代ジャズを代表する名プレーヤーたちの交流を描き、その中で紡がれてきた、“ジャズが生まれる瞬間”をとらえた作品。ジャズとは?音楽とは?語られることのなかった彼らの生き様に立ち合い、心の内までをリアルに映し出す。マイルス・デイヴィスやビル・エヴァンスらとも共演してきた名サックス奏者のリー・コニッツやドラマーのポール・モチアンをはじめ、グラミー賞受賞ギタリストのビル・フリゼールや世界で活躍する日本人アーティストの高田みどりなど、名だたるジャズ・プレーヤーたちの、普段では絶対に見られない作曲の現場や日常を最も近い距離で捉えた、ジャズファンのみならず音楽を愛するすべての人々に贈る映画となっている。撮影は、北米、ヨーロッパ、日本にわたり、実際にECM作品としてリリースされている楽曲のレコーディング現場や、撮影中に惜しくも亡くなられた数々の名プレーヤーたちの最後のパフォーマンスが記録されている。


デンマークのドキュメンタリー映画監督
ヨルゲン・レス & アンドレアス・コーフォード


ヨルゲン・レス
デンマークの詩人、映画監督であり、実験的ドキュメンタリー映画の第一人者。
代表作にドキュメンタリー『地獄の日曜日』(1977)、シュールな短編『完全なる人間』(1968)。長編ドキュメンタリー『The Five Obstructions』(ラース・フォン・トリアーとの共同監督)は2003年にヴェネチアでプレミア上映され、デンマークのアカデミー賞外国語映画賞候補となった。

アンドレアス・コーフォード
デンマーク、コペンハーゲン生まれ。
2001年より、『The Lost Leonardo』、『Ballroom Dancer』、『The Arms Drop』、『At Home In The World』など、人間存在の普遍的な物語に焦点を当てたドキュメンタリー映画を監督。彼の作品は、IDFA、CPH:DOX、Full Frame、AFI Docs、Sheffield Doc Fest、Tribecaなど世界中の映画祭で上映され、数々の賞を受賞している。

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ダコタ・ジョンソン × ショーン・ペン
真夜中のタクシー、ワンシチュエーション劇の珠玉作


『ミスティック・リバー』(03)『ミルク』(08)で2度もオスカーに輝き、世界三大映画祭のヴェネチア、カンヌ、ベルリンで主演男優賞を受賞した名優ショーン・ペン。そして、『フィフティ・シェイズ』シリーズで注目され、現在ではインディペンデント作品からマーベル作品『マダム・ウェブ』(24)とジャンルにとらわれない活躍を見せるダコタ・ジョンソン。元々友人である二人がW主演を果たしたのは、なんと完全二人芝居。酸いも甘いも経験した大人たちへ贈る珠玉の一作だ。

2023年製作/100分/G/アメリカ
原題または英題:Daddio
配給:東京テアトル


あらすじ



夜のニューヨーク。ジョン・F・ケネディ空港から一人の女性がタクシーに乗り込んだ。シニカルなジョークで車内を和ます運転手と女性はなぜだか波長が合い、会話が弾む。聞けば運転手は二度の結婚を経験し、幸せも失敗も経てきた。一方プログラマーとしてキャリアを築いてきた女性だが、恋人が既婚者であることを運転手に容易に見抜かれてしまう。もう二度と会うことのない関係だからこそ、お互いの本音を打ち明けていく二人。他愛のないはずだった会話はやがて予想もしなかった内容へ発展し、女性は誰にも打ち明けられなかった秘密を告白し始める。




解説


もう二度と会うことのない二人だから語れる、“秘密と本音”


ショーン・ペンとダコタ・ジョンソンW主演の完全二人芝居、酸いも甘いも経験した大人たちへ贈る珠玉の一作。本作で初監督を務めた劇作家クリスティ・ホールが執筆した舞台脚本が、The Black List(脚本家専門サイト)のTOP3に選出され注目を浴び、ダコタが主演と製作を熱望。『ミルク』以降の15年間、映画出演に消極的だったというショーンも「初めて映画を見た時のような感動を覚えた」と絶賛し出演を即決。さらにアカデミー賞ノミネート常連の撮影監督とプロデューサーら実力派スタッフが集結し、小さな出会いが人生に変化をもたらす奇跡の物語を完成させた。


ダコタ・ジョンソン/Dakota Johnson


1989年、アメリカ、テキサス州生まれ。英国アカデミー賞(BAFTA)ノミネート、その他受賞歴もある女優兼プロデューサー。E・L・ジェイムズの世界的人気小説「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」の映画化で主演に抜擢されスターの地位を確立。主な出演作品にはデヴィッド・フィンチャー監督『ソーシャル・ネットワーク』、スコット・クーパー監督『ブラック・スキャンダル』、ルカ・グァダニーノ監督『サスペリア』、ガブリエラ・カウパースウェイト監督『Our Friend /アワーフレンド』、マギー・ギレンホール監督『ロスト・ドーター』、S・J・クラークソン監督『マダム・ウェブ』など。2019年に、プロデュース・パートナーのロー・ドネリーとともに、TeaTime Picturesを立ち上げ、すでに多くの注目を集めている。本作『ドライブ・イン・マンハッタン』が同社製作の最新作となる。


ショーン・ペン/Sean Penn


1960年、アメリカ、カリフォルニア州生まれ。これまでに2度オスカーに輝き、世界三大映画祭(ヴェネチア、カンヌ、ベルリン)の主演男優賞の全ての受賞経験を持つ。俳優としては、アカデミー賞®主演男優賞に5度ノミネートされており、クリント・イーストウッド監督『ミスティック・リバー』で初の同賞受賞、ガス・ヴァン・サント監督『ミルク』で2度目のアカデミー賞®主演男優賞に輝いた。そのほかに『デッドマン・ウォーキング』、『ギター弾きの恋』、『I am Sam アイ・アム・サム』で同賞の主演男優賞にノミネートされた。その他の主な作品には、ブライアン・デ・パルマ監督『カリートの道』、デヴィッド・フィンチャー監督『ゲーム』、エイミー・ヘッカーリング監督、キャメロン・クロウ脚本の代表作である『初体験/リッジモント・ハイ』など。1991年に、脚本と製作も務めた『インディアン・ランナー』で監督デビューを果たし、監督としても定評がある。『イントゥ・ザ・ワイルド』は、2007年の映画ベスト10に多数ランクインしており、アカデミー賞®に2部門ノミネートされた。

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アントン・コービン監督 初の長編ドキュメンタリー
ロックに革命を起こした伝説のデザイン集団の物語


イギリスの写真家・映画監督アントン・コービンが初めて手がけた、1970年代を中心に、ピンク・フロイド、レッド・ツェッペリン、ポール・マッカートニーといった人気アーティストたちのアルバムデザインを手がけたイギリスのデザイン集団「ヒプノシス」についての長編ドキュメンタリー作品。アートワークでロックを芸術に昇華し、その独創的なデザインは、それまで宣伝用パッケージに過ぎなかったレコードジャケットの概念をくつがえし、芸術の域にまで高めた。本作は、半世紀の時を超え、今なお音楽史に燦然と輝く彼らのジャケットデザインの真相に迫る。

2023年製作/101分/イギリス
原題または英題:Squaring the Circle: The Story of Hipgnosis
配給:ディスクユニオン


あらすじ



本作では、ヒプノシス創業者のストーム・トーガソンとオーブリー・パウエル、ふたりを支えたカメラマンやグラフィックのスタッフ達に加え、ピンク・フロイドやレッド・ツェッペリン、ポール・マッカートニーらアーティスト本人によるジャケット制作秘話はもちろん、その当時の貴重なインタビューや写真・映像の数々が映し出される。半世紀の時を超え、今なお音楽史に燦然と輝く彼らのジャケットデザインの真相に迫るドキュメンタリー。




解説


ロックに革命を起こした
伝説のデザイナー集団


人気アーティストたちのアルバムデザインを手がけたイギリスのデザイン集団「ヒプノシス」。斬新・奇抜・洗練…あらゆる言葉が相応しいその独創的なデザインは、それまで宣伝用パッケージにすぎなかったアルバム・ジャケットを芸術の域に高めた。本作では、ストームとオーブリーが語る制作秘話、ふたりを支えたカメラマンやグラフィックのスタッフ、レジェンドアーティストら本人による証言はもちろん、貴重なインタビューや写真・映像の数々が映し出される。


ヒプノシス Hipgnosis (1968-1983)


ストーム・トーガソン、オーブリー・“ポー”・パウエルが共同で創立したイギリスのデザイン・アート集団。ケンブリッジでピンク・フロイドのメンバーと出会いジャケットやツアーポスターの制作を開始。後にピーター・クリストファーソンが加わり、1970年代を中心に、ピンク・フロイド、ジェネシス、レッド・ツェッペリン、ポール・マッカートニーら数々のアーティストのカバーアートを創作。その後MTVの登場など時代の変化に押され、1983年にチームは解散。ストームは2013年に死去。ピーター・クリストファーソンも2010年に死去している。

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カウリスマキから愛する地元カルッキラへ
手づくりの贈りもの


本作は、豊かな自然の中で芸術を愛して暮らす人々の、映画とカルッキラという町への想いをめぐる物語。アキ・カウリスマキをフィーチャーした初めてのドキュメンタリー映画でもあり、そこには彼の理想の映画館“キノ・ライカ”が町にもたらした変化の兆しと、これからの映画館の可能性がとらえられている。監督を務めたヴェリコ・ヴィダクは、妻と生後8ヶ月の娘を連れて、カルッキラに1年間滞在し、本作の撮影に挑んだ。

2023年製作/81分/フランス・フィンランド合作
原題または英題:Cinema Laika
配給:ユーロスペース


あらすじ



北欧フィンランドの鉄鋼の町カルッキラ。深い森と湖と、今は使われなくなった鋳物工場しかなかった人口9000人の小さなその町に、はじめての映画館“キノ・ライカ”がまもなく誕生する。元工場の一角で自らの手で釘を打ち、椅子を取りつけ、スクリーンを張るのは映画監督のアキ・カウリスマキと仲間たち。キャデラックにバイク、ビールと音楽。まるでカウリスマキの映画から抜けでたようなその町で、住人たちは映画館への期待に胸をふくらませ、口々に映画について話しだす…。




解説


アキ・カウリスマキの映画館キノ・ライカへようこそ


劇中では、カウリスマキと共同経営者の作家のミカ・ラッティが、2021年に映画館"キノ・ライカ"がオープンするまでの様子やインタビューに応える姿、カウリスマキ自身が朝7時から夕方5時まで館内の内装や看板設置など、ありとあらゆる作業を行い映画館づくりに勤しむ貴重な映像が数多く収められている。
また、カウリスマキにまつわる様々な人物たちも登場。『枯れ葉』に出演した女性デュオのマウステテュトットや『希望のかなた』のヌップ・コイヴ、サイモン・フセイン・アル・バズーン、『ラヴィ・ド・ボエーム』のエンディング曲「雪の降る町を」や『枯れ葉』の劇中歌「竹田の子守唄」を歌っているフィンランド在住の日本人・篠原敏武、『オリ・マキの人生で最も幸せな日』、『コンパートメントNo.6』のユホ・クオスマネン監督、そして、盟友ジム・ジャームッシュ監督がカウリスマキとの思い出話や映画への想いを語る。カウリスマキ作品ファンはもちろん、映画ファンも必見の一作となっている。


キノ・ライカ Kino Laika


ヘルシンキから車で1時間の町カルッキラに、アキ・カウリスマキと作家で詩人のミカ・ラッティが2021年10月8日に開いた映画館。ワインバーや川沿いのテラスを併設し、毎月コンサートを開催しているほか展覧会なども行うなど、街の複合文化施設としての役割も担う。

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第77回カンヌ国際映画祭 ゴールデン・アイ賞 ノミネート作品(2024年)


アルノー・デプレシャン監督が映画ファンに贈る
映画と映画館への愛に溢れたシネマ・エッセイ


フランスの名匠アルノー・デプレシャンが自身の映画人生を投影しながら、映画の魅力を観客の視点から語り尽くした自伝的シネマエッセイ。
本編には、映画史に功績を残した50本以上の名作が登場。リュミエール兄弟による映画の発明からアベル・ガンスの『ナポレオン』(27)、フランク・キャプラ『或る夜の出来事』(34)、アルフレッド・ヒッチコック『北北西に進路を取れ』(59)、黒澤明『乱』(85)、クロード・ランズマン『SHOAHショア』(85)、ジェームズ・キャメロン『ターミネーター2』(91)、『ノッティングヒルの恋人』(99)など、世界中の様々なジャンルの映画が洪水のようにスクリーンを駆け巡る。そのほか、フランソワ・トリュフォー、ジャン=リュック・ゴダール、イングマール・ベルイマンらの映画も登場。デプレシャン監督が尊敬するアメリカの哲学者スタンリー・カヴェルやフランスの批評家アンドレ・バザンの言葉も借りながら、“映画とは何か”に迫る。

2024年製作/88分/フランス
原題または英題:Spectateurs!
配給:アンプラグド


あらすじ



19世紀末に誕生してから現在に至るまでの映画の魅力と魔法を語り尽くす、アルノー・デプレシャン監督が映画ファンに贈る、映画への深い愛と映画館への賛美に満ち溢れたシネマ・エッセイ。デプレシャン監督の過去作『そして僕は恋をする』(96)や『あの頃エッフェル塔の下で』(15)でマチュー・アマルリックが演じる主人公ポール・デュダリスに、監督自身を投影し、初めて映画館を訪れた幼少期、映画部で上映会を企画した学生時代、評論家から映画監督への転身を決意した成人期を、映画史と共に描いた自伝的映画となっている。




解説


映画の魔法にかかった私たちの人生を50本以上の世界中の名作と共に辿る


19世紀末に誕生してから現在に至るまでの映画の魅力と魔法を語り尽くす、映画への深い愛と映画館への賛美に満ち溢れたシネマ・エッセイ。デプレシャン監督は、『キングス&クイーン』(04)や『クリスマス・ストーリー』(08)などで、数々の映画賞にノミネートされ、日本の映画ファンからも人気高い名匠。本作も、第77回カンヌ国際映画祭で特別上映され、最優秀ドキュメンタリー賞にあたるゴールデン・アイ賞にノミネートされた。映画ファンから絶賛の声が上がった話題作。デプレシャン監督の過去作『そして僕は恋をする』(96)や『あの頃エッフェル塔の下で』(15)でマチュー・アマルリックが演じる主人公ポール・デュダリスに、監督自身を投影した自伝的映画になっている。初めて映画館を訪れた幼少期、映画部で上映会を企画した学生時代、評論家から映画監督への転身を決意した成人期を、映画史と共に描く。マチュー・アマルリックは本人役として出演。祖母役をジャン・ユスターシュ監督の傑作『ママと娼婦』(73)で知られるフランソワーズ・ルブランが、14歳のポール役を『落下の解剖学』(23)の視覚障害のある息子役で注目を浴びたミロ・マシャド・グラネールが演じている。


デプレシャン監督が贈る映画と映画館へのラブレター


ドラマとドキュメンタリーを融合したハイブリッドな構成で綴られる本作。フィクションのシーンには、一般の観客が映画体験エピソードを語るインタビューシーンが挟まれる。「本作の主題は“私たち”映画の観客」と監督が語るように、観客の視点で映画愛が描かれる。シネ・ヌーヴォ(大阪)やアンスティチュ・フランセ(東京)など、日本の映画館の登場も見逃せない。映画は私たちの人生にどれほどの影響をもたらすのか。

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