2023年 第76回 カンヌ国際映画祭 コンペティション部門出品
2023年ナストロ・ダルジェント賞 7部門受賞
2023年金鶏奨監督賞/主演男優賞
イタリア史上最大級の波紋を呼んだ衝撃の史実を
巨匠マルコ・ベロッキオ監督が映画化!
ユダヤ人街で暮らしていた、7歳を迎えるエドガルド・モルターラが教皇領の警察により連れ去られた「エドガルド・モルターラ誘拐事件」。悲嘆に暮れながらもあらゆる手立てを講じるべく奔走する両親と、時の権力強化のため決して返還に応じようとしない教会側の争いは、イタリアをはじめ、時の皇帝ナポレオンやロスチャイルド家ら、全世界を巻き込んだ論争を紛糾させた。スティーヴン・スピルバーグが魅了され、映像化に向けて書籍の原作権を押さえたことでも知られているが、映画化を実現したのはイタリアの巨匠マルコ・ベロッキオ。国家、教会、マフィアなどの絶対権力の歪さや、それに翻弄される人々の運命をイタリアの史実をベースに描き続けてきた彼が、その集大成とも言える衝撃作とともに舞い戻ってきた。監督が「突き詰めていくと、合理的な説明をすべて覆す人物像が浮かび上がって来る」と語る通り、エンドロールを迎えるその直前まで、エドガルドが迎える数奇な運命とその選択を、固唾をのんで迎えることになるだろう。
2023年製作/134分/G/イタリア・フランス・ドイツ合作
原題:Rapito
配給:ファインフィルムズ
あらすじ
1858年、ボローニャのユダヤ人街で、教皇から派遣された兵士たちがモルターラ家に押し入る。枢機卿の命令で、何者かに洗礼を受けたとされる7歳になる息子エドガルドを連れ去りに来たのだ。取り乱したエドガルドの両親は、息子を取り戻すためにあらゆる手を尽くす。世論と国際的なユダヤ人社会に支えられ、モルターラ夫妻の闘いは急速に政治的な局面を迎える。しかし、教会とローマ教皇は、ますます揺らぎつつある権力を強化するために、エドガルドの返還に決して応じようとしなかった…。
解説
第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品作品
カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品を皮切りに世界中の映画祭をまわり、イタリア映画記者組合が選出するナストロ・ダルジェント賞では7部門で見事受賞。「イタリア映画史上、屈指の冷酷さを誇るエンディング」(Micromega)「実話であるということが、何より恐ろしい。絶対権力と市井の民、その間に存在する暴力と冷笑の不均衡を描く」(Wired Italy)「ベロッキオ監督作の中で最も挑戦的」(Esquire)など、その知られざる実話の衝撃と、84歳にして熱量衰えぬベロッキオにより高濃度で活写されたドラマが高い評価を得ている。国家や教会などの絶対権力とも言える組織による策略に巻き込まれることになる普通の人々の運命に、権力側がどれほど無関心であるかをも描いている本作。決して1800年代の外国の話として見なせないほどのリアリティを以て、今を生きる我々に迫って来る。
スピルバーグが映像化を断念!
スティーヴン・スピルバーグが魅了され、映画化に向けて書籍の原作権を押さえていたことでも知られているが、ピルバーグは7歳のエドガルド役が見つからず映像化を断念したが、マルコ・ベロッキオは新星エネア・サラを抜擢。日本版ティザービジュアルでこちらを見つめるエドガルドの視線と、彼を抱いている教会の絶対権力の象徴である教皇の薄い笑み。視線を下げるとぶつかる「なぜ、僕だったの?」というコピーに息を呑む衝撃が走る。
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