上映した映画



魅入られたら最後
魔女の毒で あなたは目覚める
現実と虚構が交錯する 幻惑の心理サスペンス


奇才ジョセフィン・デッカーの長編4作目である本作は、巨匠スティーヴン・キングにも影響を与えたゴシック作家シャーリイ・ジャクスンの伝記小説に現代的で斬新な解釈を加えた、想像力とダイナミズムに満ちた心理サスペンス。作家自身のキャラクターと執筆過程を描きながら、まるでその小説世界に迷い込んだような幻惑的な映像を作り上げた。“魔女”と呼ばれた作家の姿を圧倒的な怪演で魅せたエリザベス・モスを初め、一流キャストが集結。さらにはデッカーの才能に惚れ込んだマーティン・スコセッシが製作総指揮に名乗りを上げ、2020年には見事サンダンス映画祭へ返り咲いた。

2019年製作/107分/PG12/アメリカ
原題:Shirley
配給:サンリスフィルム


あらすじ



1948年、『ニューヨーカー』誌上に発表した短編『くじ』が一大センセーションを巻き起こした後、新しい長編小説に取り組んでいたシャーリイ(エリザベス・モス)はスランプから抜け出せずにいた。着想の元になったのは、ベニントン大学に通う18歳の少女・ポーラが突如として消息を絶った未解決の失踪事件。部屋に引きこもってばかりいるシャーリイの状況を変えようと、大学教授である夫のスタンリー(マイケル・スタールバーグ)は、バーモント州の学園都市へ移住を計画している助手のフレッド(ローガン・ラーマン)と妻のローズ(オデッサ・ヤング)を居候として呼び寄せる。新居が見つかるまでの間、無料で部屋と食事を提供する代わりに家事や妻の世話をしてほしい——スタンリーに半ば強引に言いくるめられた夫妻は、何も知らずにシャーリイとスタンリーと共同生活を送ることに。他人が家に上がり込むことを毛嫌いしていたシャーリイだったが、ひどい扱いを受けても懲りずに自分の世話を焼くローズを通じて、次第に執筆のインスピレーションを得るようになる。一方、ローズはシャーリイの魔女的なカリスマ性に魅入られ、いつしか二人の間には奇妙な絆が芽生えていく。しかし、この風変わりな家に深入りしてしまった若々しい夫妻は、やがて自分たちの愛の限界を試されることになるのだった……。




解説


エリザベス・モス 怪演 !
巨匠スティーヴン・キングにも影響を与えた
異色作家シャーリイ・ジャクスンの伝記小説が映画化


2018年のサンダンス映画祭でプレミア上映され、『心をかき乱す傑作』と絶賛された『Madeline's Madeline(原題)』(2018)や、A24とApple TV+が共同制作した『空はどこにでも』(2022)で注目を集める奇才ジョセフィン・デッカー。
長編4作目である本作は、巨匠スティーブン・キングが影響を受けて『シャイニング』を書いたと言われる異色作家シャーリイ・ジャクスンの伝奇小説に現代的で斬新な解釈を加えた、想像力とダイナミズムに満ちた心理サスペンス。作家自身のキャラクターと執筆過程を描きながら、まるでその小説世界に迷い込んだかのような幻惑的な映像を作り上げた。
“魔女”と呼ばれた作家の姿を圧倒的な怪演で魅せたエリザベス・モスをはじめ、マイケル・スタールバーグ、オデッサ・ヤング、ローガン・ラーマンといった一流キャストが集結。2020年にはサンダンス映画祭に見事返り咲き、USドラマ部門審査員特別賞を受賞した。また、デッカーの才能に惚れ込んだマーティン・スコセッシがエグゼクティブ・プロデューサーとして名前を連ねている。


シャーリイ・ジャクスン
Shirley Hardie Jackson
(December 14, 1916 – August 8, 1965)


カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。33年、ニューヨーク州ロチェスターへ移住。ロチェスター大学に入学するが中途退学。37年、親元を離れてシラキュース大学に編入学し、後に夫となるスタンリー・エドガー・ハイマンと出会う。在学中、ハイマンらと同大学の文芸誌の刊行に携わり、創作意欲を高めていった。40年、卒業と同時にニューヨークに移り、ハイマンと結婚。42年には第一子が誕生し、のちに三人の子をもうける。ハイマンがベニントン大学の教授陣に加わった45年より一家はバーモント州ノースベニントンに定住した。
48年、ジャクスンは20年代にカリフォルニア州バーリンゲームで育った子供時代を半自伝的に描いたデビュー長編『壁の向こうへ続く道』を出版。ジャクスンの最も有名な短編である『くじ』は、同年6月に『ニューヨーカー』誌に発表されて一大センセーションを巻き起こし、彼女の名声を確立した。51年に発表された長編第2作『絞首人(処刑人)』には、46年に実際に起こったベニントン大学に通う18歳の少女ポーラ・ジーン・ウェルデンの失踪事件の影響が見られる。現在も未解決のこの事件は、ジャクスンと家族が住んでいたベニントン近郊のグラステンベリー山の森の荒野で起こっている。
50年代を通じて文芸誌や雑誌に数多くの短編小説を発表し続け、その一部は53年の回顧録『野蛮人たちとの生活』にまとめられている。59年、ゴーストストーリーの古典ともされる超自然的なホラー小説『丘の上の屋敷』を出版。スティーブン・キングが激賞したことでも知られ、『シャイニング』に影響を与えたと言われる。62年、最後の長編小説となる『ずっとお城で暮らしてる』を出版。ジャクスンを代表する最高傑作と評されるゴシックミステリーとなった。
1960年代になると、健康状態を損ねたジャクスンは闘病生活を送るようになり、48歳の若さで心不全により死去。25年という比較的短い執筆期間で、6つの長編、100を超える短編、家族の日常を描いた2冊のエッセイ、4作の児童書を刊行した。また、多くの長編は映画化もされ、ロバート・ワイズ監督による『たたり』(1963)はホラー映画の古典的名作としても知られる。2008年、彼女の功績を称え、心理サスペンス、ホラー、ダークファンタジーのジャンルにおいて最も優れた小説に贈られる賞としてシャーリイ・ジャクスン賞が創設された。日本では小川洋子、鈴木光司が受賞している。

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