上映した映画



2022年 トライベッカ映画祭 正式出品
2024年 AARP 大人のための映画賞(最優秀ドキュメンタリー賞ノミネート)


「失われた週末」は本当に「失われ」ていたのか――


ザ・ビートルズのファンには周知の事実ながら、本当の事情はよく知られていないことがある。ジョン・レノンとオノ・ヨーコが別居していた「失われた週末」(The Lost Weekend)と呼ばれている18カ月間のプライベートな日々のことだ。その時期、ジョンはどこで、誰と、どんな生活を送っていたのか?ジョンとヨーコの元・個人秘書であり、プロダクション・アシスタントを務めていた中国系アメリカ人のメイ・パン。1950年生まれ。移民二世としてニューヨークのスパニッシュ・ハーレムで生まれ育った彼女は、音楽業界入りしてから間もない1973年9月から1975年2月まで、10歳年上のジョン・レノンと18カ月間にわたり恋人関係にあった。これまでは単なるスキャンダルやゴシップの類として我々に伝えられることの多かった「失われた週末」。ジョン&ヨーコというポップカルチャーの巨大な神話に遮られ、歴史の陰に隠れていたジョン&メイのラブストーリーを、メイ本人が自分の口で「私の物語」として語り始める。50年の時を経て、今明かされる真実の物語。それがこのドキュメンタリー映画『ジョン・レノン 失われた週末』である。

2022年製作/94分/アメリカ
原題:The Lost Weekend: A Love Story
配給:ミモザフィルムズ


あらすじ



ザ・ビートルズのファンには周知の事実である、ジョン・レノンとオノ・ヨーコが別居していた「失われた週末」と呼ばれるプライベートな日々。ジョンとヨーコの個人秘書であり、プロダクション・アシスタントを勤めていた中国系アメリカ人、メイ・パンは、その時期、ヨーコの強い希望でジョンと過ごすことになった。50年の時を経て明かされる、18カ月間の真実の物語とは――。ジョンの名曲の数々や貴重なアーカイブ映像、写真を織り交ぜながら、メイ本人が若き日の自分とジョンとの忘れ難い日々を回想し、彼女の目で見た素顔のジョン・レノンが生き生きと蘇る。




解説


50年の時を経て、今明かされる
ジョン・レノンの18ヵ月間の「失われた週末」の真実


19歳で音楽業界に飛び込んだメイが、ジョンとヨーコに初めて接触したのは1970年。ジョンのマネージャーだったアラン・クラインが運営する「アブコ・レコード」の当時一番若い社員だったメイは、ジョンとヨーコが監督する前衛映画『ハエ(原題:Fly)』(70)と『アップ・ユア・レッグス・フォーエヴァー(原題:Up Your Legs For-ever)』(71)の製作助手を務めた。そこでジョンとヨーコから気に入られ、彼ら専属の個人秘書に指名される。以降、テレビ番組「ディック・キャヴェット・ショー」に袋をすっぽりかぶった妙な格好でジョン&ヨーコと共に出演したり、シングル盤「ハッピー・クリスマス(戦争は終った)」(71)のコーラスに参加してジャケット写真に初めて姿が載ったり(音楽プロデューサー、フィル・スペクターの横に写っている)など、若くて魅力的な“名物秘書”として刺激的な日々を過ごした。だがまもなく暗雲が立ちこめてくる。ベトナム反戦運動のシンボルとなっていたジョンは、当時のニクソン政権並びにFBIから睨まれ、行動を監視されるようになる。さらにビートルズの後処理やソロ活動への賛否などのストレスが重なり、どんどんナーバスになっていったジョン。やがて彼の衝動的な浮気に悩まされるようになったヨーコは、暗礁に乗り上げた結婚生活を解決に向かわせるための“安全策”として、メイにジョンの恋人になるように求めた。「あなた、ボーイフレンドいないわよね?」。当時、メイは22歳。だがヨーコの誤算は、ジョンとメイの間に本気の恋心が芽生えたことだった。こうして1973年9月22日、ジョンはニューヨークの自宅ダコタハウスを離れ、メイと2人でロサンゼルスに旅立った――。


『マインド・ゲームス』『心の壁、愛の橋』…
ビートルズ解散以降、最も芸術的・商業的に成功した
当時のジョンの素顔が生き生きと蘇る


当時ジョンと別居状態にあったヨーコから促されて始まったジョンとメイの交際。2人が一緒に過ごした期間は「失われた週末」という呼び名とは裏腹に、ジョンがビートルズの解散以降のソロキャリアのなかで最も多作で、商業的にも成功した時期でもある。アルバム『マインド・ゲームス(旧邦題:ヌートピア宣言)』(73)、エルトン・ジョンをゲストに迎えてソロ活動では初めての全米シングルチャート第1位を獲得した「真夜中を突っ走れ」を含む『心の壁、愛の橋』(74)、オールディーズのカヴァーアルバム『ロックン・ロール』(75)。そして先述のエルトン・ジョンをはじめ、デヴィッド・ボウイ、ハリー・ニルソン、ミック・ジャガー、ビートルズの盟友リンゴ・スターらとのコラボレーションなど、華やかな交遊の中で次々と作品を結実させていったジョンに、ずっと側にいたメイがクリエイティブ面でも大きな影響を与えたことは間違いない。またメディアに派手な話題を提供した酒飲み集団“ハリウッド・ヴァンパイアズ”(ジョンやリンゴのほか、アリス・クーパー、ハリー・ニルソン、キース・ムーンらがメンバー)の夜遊びの様子や、1974年、パームスプリングスでのポール・マッカートニーとの久々の再会など、ファンでさえなかなか知り得なかった当時のジョンの素顔をこの映画では見ることができる。

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