上映した映画



≪第76回カンヌ国際映画祭審査員賞受賞≫
≪2023年国際批評家連盟賞年間グランプリ≫
≪第96回アカデミー賞国際長篇映画賞部門フィンランド代表≫


カンヌ国際映画祭審査員賞に輝いたアキ・カウリスマキのラブストーリー。北欧の街ヘルシンキ。理不尽な理由で仕事を失ったアンサと、酒に溺れながらも工事現場で働くホラッパはある夜、カラオケバーで出会い、互いの名も知らぬまま、惹かれ合うが……。

2023年製作/81分/1.85:1/ドルビー・デジタル5.1ch/DCP/フィンランド・ドイツ
フィンランド語/原題:KUOLLEET LEHDET/英語題:FALLEN LEAVES
配給:ユーロスペース 提供:ユーロスペース、キングレコード


あらすじ



北欧の街ヘルシンキ。アンサは理不尽な理由で仕事を失い、ホラッパは酒に溺れながらも、どうにか工事現場で働いている。ある夜、カラオケバーで出会った2人は、互いの名前も知らぬまま惹かれ合う。だが、不運な偶然と現実の過酷さが、彼らをささやかな幸福から遠ざける。果たして2人は、無事に再会を果たし、想いを通い合わせることができるのか……?



取るに足らないバイオレンス映画を作っては自分の評価を怪しくしてきた私ですが、無意味でバカげた犯罪である戦争の全てに嫌気がさして、ついに人類に未来をもたらすかもしれないテ ーマ、すなわち愛を求める心、連帯、希望、そして他人や自然といった全ての生きるものと死んだものへの敬意、そんなことを物語として描くことにしました。それこそが語るに足るものだという前提で。

この映画では、我が家の神様、ブレッソン、小津、チャップリンへ、私のいささか小さな帽子を脱いでささやかな敬意を捧げてみました。しかしそれが無残にも失敗したのは全てが私の責任です。


アキ・カウリスマキ


解説


突然の監督引退宣言から6年。
最高のラブストーリーとともに、アキ・カウリスマキが帰ってきた!


2017 年、『希望のかなた』のプロモーション中に監督引退宣言をし、世界中のファンを悲嘆に暮れさせたアキ・カウリスマキ。それから6年、監督カウリスマキはあっけらかんと私たちの前に帰ってきた。可笑しみと切実さに満ちた、最高のラブストーリーを連れて。

新作『枯れ葉』の主人公は、孤独さを抱えながら生きる女と男。ヘルシンキの街で、アンサは理不尽な理由から仕事を失い、ホラッパは酒に溺れながらもどうにか工事現場で働いている。ある夜、ふたりはカラオケバーで出会い、互いの名前も知らないまま惹かれ合う。だが、不運な偶然と現実の過酷さが、彼らをささやかな幸福から遠ざける。果たしてふたりは、無事に再会を果たし想いを通じ合わせることができるのか? いくつもの回り道を経て、物語はカウリスマキ流の最高のハッピーエンドにたどりつく。


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ノスタルジックな風景と多様な音楽、とぼけたユーモア、溢れ出る映画愛。
悲痛な現実のなかで、それでも「愛」を信じつづけるために。


労働者 3 部作『パラダイスの夕暮れ』『真夜中の虹』『マッチ工場の少女』に連なる新たな物語として発表された『枯れ葉』には、ギリギリの生活を送りながらも、生きる喜びと人間としての誇りを失わずにいる労働者たちの日常が描かれる。

抑制された画面の中に映るノスタルジックなヘルシンキの風景、バンド演奏からカラオケまで自由自在な音楽の使い方、随所に散りばめられたとぼけたユーモア。また劇中には、主人公たちが初めてのデートで見に行く映画として、盟友ジム・ジャームッシュの『デッド・ドント・ダイ』が大胆に引用され、ゴダールやブレッソンの名前も登場。画面から溢れでる映画愛に、誰もがにやりと笑ってしまうはず。一方で、登場人物たちの横ではつねにロシアによるウクライナ侵攻のニュースが流れ、いま、私たちが生きる悲痛な現実を映し出そうとする意志が感じられる。カウリスマキ映画のなかでもかつてないほどまっすぐな愛の物語となった本作は、戦争や暴力がはびこる世の中で、それでもたったひとつの愛を信じつづける恋人たちの姿を通して、今を生きる希望を与えてくれる。


『トーベ/TOVE』のアルマ・ポウスティと、ユッシ・ヴァタネンの W 主演。
悲劇と喜劇の間をさまよい歩く、現代の恋のおとぎ話。


互いの名前も、電話番号も知らないまま恋に落ち、運命に振り回されながら想いを成就させようとする恋人たちを演じるのは、カウリスマキ映画には初出演となる二人。『トーベ/TOVE』でムーミンの作者トーベ・ヤンソンを演じ大きな注目を集めたアルマ・ポウスティと、『アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場』で高い評価を得たユッシ・ヴァタネン。

アルマ・ポウスティは、職場での理不尽な扱いに抗い、恋人の悪癖をきっぱりと諌める強さを持った現代の女性像を演じ、新しいカウリスマキ映画のヒロイン像を提示。ユッシ・ヴァタネンは、酒浸りで周囲を心配させながらも、どこか憎めない男の役をユーモアを交えて演じている。それぞれの友人役として、ヤンネ・ヒューティアイネン(『街のあかり』『希望のかなた』)、ヌップ・コイヴ(『希望のかなた』)が出演、そしてカウリスマキ映画には欠かせない名優“犬”の登場も忘れてはいけない。  


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