第45回 ポルト国際映画祭 オリエントエクスプレス部門 最優秀作品賞受賞
第62回 ヒホン国際映画祭 ユース審査員最優秀長編映画賞受賞
CG⼀切なしの神秘的な⾃然の中で紡がれる伝承と解放の物語
『アルビノの木』『リング・ワンダリング』などで、国内のみならず海外映画祭でも受賞多数の異才、金子雅和監督の最新作。川や山といった圧倒的なロケーションと民俗学・美術等に裏打ちされた世界観により、現代人が忘れかけている自然への畏怖や人間の根源にある生命力を描き出す。
今回の舞台となるのは、⾼度経済成⻑期の始まった1958年。 無垢な少年の眼差しに映る、⾃然への畏怖と現代化への分岐点。少年が⽬撃する⾥の娘と⽊地屋の⻘年の関係性には、⽀配的な社会制度から解き放たれた世界へ向かおうともがく様が描写され、疲弊する現代⼈への原点回帰的なメッセージが秘められている。
2024年製作/108分/日本
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
金子雅和監督来館! 5月17日(土)18日(日)
『光る川』の監督、金子 雅和(かねこ まさかず)さんに舞台挨拶をしていただけることが決定しました。
以下が舞台挨拶のスケジュールです。
17日(土)
3回目(16:30ー)上映後、4回目(19:30ー)上映後
18日(日)
1回目(10:30ー)上映後
経歴
1978年東京都出身。青山学院大学国際政治経済学部卒。
大学卒業後に映画美学校で瀬々敬久監督の指導を受けたのち、企業 VPや映画・テレビCM等の現場に携わりながら6本の短編映画を監督。
2016年、初長編監督作『アルビノの木』が第6回北京国際映画祭の新人監督部門で正式上映、テアトル新宿ほか全国で公開。海外映画祭で20受賞。
2021年、長編2作目となる『リング・ワンダリング』(出演:笠松将、 阿部純子、安田顕、片岡礼子、品川徹、田中要次、長谷川初範ほか) を完成。第37回ワルシャワ国際映画祭で世界初上映、エキュメニカル 賞スペシャル・メンションを授与され、第22回東京フィルメックスで国内初上映。アジア最大級の映画祭・第52回インド国際映画祭で最高賞の金孔雀賞を、アフリカ最古の映画祭・第43回ダーバン国際映画祭で最優秀脚本賞を受賞。台湾、シンガポールにて劇場公開、国内各地で1年以上にわたるロングラン上映となった。
同作の公開と並行して、新作長編企画『水虎』を進行中。そのパイロット版が松竹京都撮影所で制作され、第34回東京国際映画祭で世界初上映。文化庁主宰2021年度・日本映画海外展開強化事業の映画作家 3名に選ばれ、ユニジャパンの推薦で第72回ベルリン国際映画祭及びヨーロピアンフィルムマーケットに派遣される新進監督4名にも選出された。
『光る川』が長編3作目となる。
作品
監督
『AURA』(1998年/短編/8mmフィルム)
『ショウタロウの涙』(2000年/短編/16mmフィルム)
『すみれ人形』(2008年/映画美学校修了制作)
『鏡の娘』(2008年/短編 ※オムニバス映画『辺境幻想』の一編)
『こなごな』(2009年/短編 ※オムニバス映画『辺境幻想』の一編)
『失はれる物語』(2009年/短編 ※オムニバス映画『辺境幻想』の一編)
『It ends slowly in summer』(2010年/MV/音楽:Octopod ※オムニバス映画『辺境幻想』の一編)
『復元師』(2010年/短編 ※オムニバス映画『辺境幻想』の一編)
『逢瀬』(2013年/短編)
『水の足跡』(2013年/短編/製作:第2回きりゅう映画祭)
『アルビノの木』(2016年)
『リング・ワンダリング』(2021年)
『光る川』(2024年)
撮影
『Good Night Caffeine』(2015年/安達寛高監督/短編 ※オムニバス映画『ぼくたちは上手にゆっくりできない。』の一編)
『シライサン』(2020年/安達寛高監督/製作:松竹)
あらすじ
⼤きな川の上流、⼭間の集落で暮らす少年ユウチャ。⽗は林業に従事し、⺟は病に臥せっていて、⽼いた祖⺟と暮らしている。まだ⾃然豊かな⼟地ではあるが、森林伐採の影響もあるのか、家族は年々深刻化していく台⾵による洪⽔の被害に脅かされている。夏休みの終わり、集落に紙芝居屋がやってきて⼦どもたちを集める。その演⽬は、⼟地にずっと伝わる⾥の娘・お葉と⼭の⺠である⽊地屋の⻘年・朔の悲恋。叶わぬ想いに打ちひしがれたお葉は⼭奥の淵に⼊⽔、それからというもの彼⼥の涙が溢れかえるように数⼗年に⼀度、恐ろしい洪⽔が起きるという。紙芝居の物語との不思議なシンクロを体験したユウチャは、現実でも家族を脅かす洪⽔を防ぎ、さらには哀しみに囚われたままのお葉の魂を解放したいと願い、古くからの⾔い伝えに従って川をさかのぼり、⼭奥の淵へ向かう・・・
解説
国内外の映画祭で多数の受賞
世界で注⽬の⾦⼦雅和監督最新作!
『アルビノの⽊』『リング・ワンダリング』など国内のみならず海外映画祭でも多数受賞の異才・⾦⼦雅和監督の最新作。⾦⼦監督は、川や⼭といった圧倒的なロケーションと⺠俗学・美術等に裏打ちされた世界観により、現代⼈が忘れかけている⾃然への畏怖や⼈間の根源にある⽣命⼒を描き出す作⾵で知られている。初⻑編となった『アルビノの⽊』(2016)は9カ国の映画祭で20受賞、第2作『リング・ワンダリング』(2021)はインド国際映画祭で『あにいもうと』の今井正監督、『鉄道員(ぽっぽや)』の降旗康男監督に次いで⽇本⼈史上3⼈⽬となる最⾼賞(⾦孔雀賞)を受賞し、今、国内外から注⽬を集めている存在だ。 本作でもスペインで最も歴史ある映画祭のひとつであり、過去アキ・カウリスマキ、ツァイ・ミンリャン、ペドロ・コスタ、ホン・サンス、鈴⽊清順、塚本晋也、⼩栗康平、諏訪敦彦、濱⼝⻯介といった名だたる作家映画の数々を上映してきた第 62 回ヒホン国際映画祭のRetueyosコンペティション(⻑編1-3作⽬の監督作)で17歳〜25歳のユース審査員11名により選出される【ユース審査員最優秀⻑編映画賞】を受賞。「普遍的な感情を繊細かつ美しく描き、時間や距離を超えて物語に共感出来る作品に仕上げた」として⾼い評価を得た。
キャスト・スタッフに多彩な顔ぶれ
物語の根幹を⽀える⼥性・お葉を演じるのは NETFLIX『シティーハンター』くるみ役で注⽬を集めた華村あすか。お葉との悲恋の相⼿・朔にモデルとしてのみならず 2022 年 NHK 朝の連続テレビ⼩説「舞いあがれ︕」章兄ちゃん役などで俳優としても活躍の場を広げている葵揚。物語の眼差しとなる少年・ユウチャとお葉の弟・枝郎を⾦⼦監督の師である瀬々敬久監督の作品『春に散る』にも出演した⼦役の有⼭実俊が⼀⼈⼆役で演じている。また、⾜⽴智充、堀部圭亮、根岸季⾐、渡辺哲といったベテランから、⾦⼦作品に⽋かせない⼭⽥キヌヲ、そして『リング・ワンダリング』に続く出演であり、現在⽇本映画に引っ張りだこの俳優・安⽥顕まで、多彩な顔ぶれが揃った。
原作は岐⾩出⾝の作家・松⽥悠⼋の「⻑良川 スタンドバイミー⼀九五〇」。⾦⼦⾃⾝⻑編映画としては初めての原作ものとなったが、⻑良川流域の⼟地・⺠話・伝承からインスピレーションを受け、物語を⼤きくふくらませていった。撮影は 2023 年 9⽉、全て岐⾩県内で⾏われた。いつも凄みのあるロケーションで⾒るものを圧倒する⾦⼦作品、それは監督⾃⾝が何度も⾜を運んで探し出すもので、今回もそうしたロケハンが数⼗回にわたり繰り返された。深く引き込まれそうな⽔辺、近寄りがたさすら感じさせる洞窟や滝、悠久の時を刻む⼭々の情景など、CG ⼀切なしの神秘的な⾃然が物語を彩る⼤きな要素となっている。そんな作品世界に寄り添う⾳楽は、細⽥守監督作品などを⼿掛けてきた⾳楽家・⾼⽊正勝が書き下ろし、繊細に演奏している。
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