第60回金馬奨 4部門ノミネート
第25回台北映画賞 最優秀主演女優賞、最優秀助演男優賞
第25回ウディネ・ファーイースト映画祭 最優秀脚本賞
第18回大阪アジアン映画祭 薬師真珠賞(俳優賞)、観客賞
変わらないハサミの音、シャボンの香り、
ここは、アールイさんのちいさな理髪店
常連たちが集う、台湾の町はずれの理髪店。時が止まったように見えるけど、でも少しずつ、そして確かに季節は巡る。ある晴れた朝、店主のアールイは店を閉めて、あの人の髪を切りにゆく…。
作家やミュージックビデオ監督としても活躍する台湾の俊英フー・ティエンユー監督が、自身の母親をモデルに執筆した脚本をもとに、実家の理髪店で撮影を敢行して完成させたヒューマンドラマ。全編を通じて柔らかなノスタルジーを感じさせながらも、家族間に波立つ感情や、“老い”を受け入れていく心情、新たな希望を見出す道程を、リアルで現代的な視点を交えながら繊細に描き出す。
2023年製作/106分/G/台湾
原題または英題:本日公休 Day Off
配給:ザジフィルムズ、オリオフィルムズ
あらすじ
台中の下町で40年にわたり理髪店を営む店主のアールイ(ルー・シャオフェン)。今日も、いつものように店に立ち、常連客を相手にハサミの音を響かせている。息子の卒業式に出席するために整髪にやって来る紳士、夢枕に立った亡き妻に「髪は黒いほうが良い」と言われ、初めて白髪染めにやって来る老人、親に内緒で流行りのヘアスタイルにして欲しいと懇願する中学生……、時が止まったように見える店も、泣いたり笑ったり忙しい。3人の子どもたちは、すでにそれぞれの道を歩んでいるが、アールイの心配は尽きない。台北でスタイリストをする長女シン(アニー・チェン)、街のヘアサロンで美容師をする次女リン(ファン・ジーヨウ)、一攫千金を夢見て定職に就かぬままの長男ナン(シー・ミンシュアイ)。皆、実家の店にはなかなか顔を見せず、頼りになるのは、近くで自動車修理店を営む次女の別れた夫チュアン(フー・モンボー)だけ。そんなある日、アールイは店に「本日公休」の札を掲げ、愛用の理容道具を携えて、古びた愛車で出発する。偶然実家を訪れたシンは、母が店を休んでいる理由をナンやリンに聞くが、誰も知らない。スマホは食卓に置きっぱなしで連絡も取れず、3人は母を案じていた。その頃アールイは、遠くの町に住む常連客が病床にあると聞き、出張散髪に向かっている途中で……。
解説
台湾の俊英フー・ティエンユー(傅天余)監督
作家、MV監督としても活躍するなど多彩な才能をもつ台湾の俊英フー・ティエンユー監督の劇場長編3作目。監督自身の母親をモデルに書き上げたシナリオを元に、台中の実家で実際に営んでいる理髪店で撮影を敢行し、3年の月日をかけて完成させた。全編を通じて柔らかなノスタルジーを感じさせながらも、家族間に波立つ感情や、“老い”を受け入れていく心情、新たな希望を見出す道程を、リアルで現代的な視点を交えながら繊細に描き出し、本国台湾では国内新作映画初登場1位のヒットスタートを切った。
台北電影奨主演女優賞、大阪アジアン映画祭 薬師真珠賞(俳優賞)受賞等
実力派揃いのキャスト陣
主人公のアールイ役には、1999年以来、映画の出演から遠ざかっていた『客途秋恨』(アン・ホイ監督/90)の名優 ルー・シャオフェンが 24 年ぶりに銀幕に主演復帰。「こんな脚本をずっと待っていた」と出演を即決したシャオフェンは、約4か月間ヘアカットの猛特訓を積んで撮影に臨んだ。本物の理髪師さながらのハサミ捌きと、ブランクを感じさせない演技で、台北電影奨主演女優賞、大阪アジアン映画祭 薬師真珠賞(俳優賞)を受賞。また、アールイに反発的な次女リンを演じたファン・ジーヨウが台湾金馬奨 助演女優賞を、次女の元夫で心優しいチュアンを演じたフー・モンボー(『返校 言葉が消えた日』19)が台北電影奨 助演男優賞を受賞した。『藍色夏恋』(02)のチェン・ボーリン、『僕と幽霊が家族になった件』(22)のリン・ボーホンが、特別出演しているのも見逃せない。
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