上映予定の映画



ポンヌフの宵闇に心を通わせるジャックとマルト。
恋と愛にうつろう四夜の物語。


ドストエフスキーの同名小説を原作とした、フランスの巨匠ロベール・ブレッソンの傑作『白夜(1971)』4Kレストア版。1971年カンヌ映画祭で初公開後、近年ではフランスでさえ上映不可能だった幻の傑作として知られる本作は、2012年に日本でのみ35ミリニュープリントで上映され、そして2025年、4Kレストアで劇場公開される。19世紀のペテルブルクを舞台にしたこの物語をブレッソンは撮影当時のパリに舞台を移し、セーヌ河畔とポンヌフを背景に若き二人の男女を見つめていく。

1971年製作/83分/フランス・イタリア合作
原題または英題:Quatre nuits d'un reveur
配給:エタンチェ、ユーロスペース


あらすじ



画家のジャックは、ある夜、ポンヌフで思い詰めた表情をしている美しい女性マルトに出会う。翌晩、お互いの素性を語り合うジャックとマルト。ジャックは孤独な青年で、理想の女性との出会いを夢見ていた。一方のマルトは恋した相手に「結婚できる身分になったら一年後に会おう」と去られていた。そして今日がちょうどその一年後。マルトに熱い気持ちを抱きながらも、彼と出会えるよう献身するジャック。だが三夜目になっても男は現れず、マルトの心もジャックに惹かれ始めていた。そして運命の第四夜……。




解説


詩情あふれる映像と物語


世界の映画作家たちに絶大なる影響を与え続けている巨匠ロベール・ブレッソンの『白夜』。近年ではフランスでさえ上映不可能であったが、その美しさと儚さは多くの映画ファンの心の中で大切に育まれてきた。その幻の逸品が、ついに4Kレストアされいっそうの輝きを纏い、いまスクリーンによみがえる。原作はドストエフスキーの短篇。撮影当時のパリに舞台を移し、セーヌ河岸とポンヌフを背景に若き二人の男女を見つめていく。全篇を軽やかな空気が吹き抜け、一度見たら忘れられないシーンで胸がいっぱいになるみずみずしい恋の映画。


ロベール・ブレッソン Robert Bresson


1901年9月25日、フランス中部、ピュイ=ド=ドーム県、ブロモン=ラモット生まれ。1999年12月18日、パリにて逝去。リセで古典文学と哲学を学ぶ。画家、写真家として活動したのち、映画の道へ進む。1934年短篇『公共問題』を監督。1940~1941年にかけて、ドイツ軍の捕虜となる。1943年、長篇第一作『罪の天使たち』以降、遺作となる『ラルジャン』(1983)まで長篇13作品を監督。1975年『シネマトグラフ覚書』(Notes sur le cinématographe) 刊行(松浦寿輝訳、筑摩書房、1987年)。

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第77回 カンヌ国際映画祭(2024年)ある視点部門 ユース賞受賞
2024年 ジャン・ヴィゴ賞受賞
2025年 セザール賞最優秀新⼈監督賞受賞


⽗が死んだ
残されたのは、行き詰まったチーズ⼯房と幼い妹


「コンテチーズの村」で⽣きる若者たちの⽇々を描く、鮮やかに⼼打つ⻘春譚。フランス、コンテチーズの故郷ジュラ地⽅。18歳のトトンヌは、仲間と酒を飲み、パーティに明け暮れ気ままに過ごしている。しかし現実は容赦無く彼に襲いかかる。ある⽇チーズ職⼈だった⽗親が不慮の事故で亡くなり、7 歳の妹の⾯倒を⾒ながら、⽣計を⽴てる⽅法を⾒つけなければならない事態に。

2024年製作/92分/PG12/フランス
原題または英題:Holy Cow
配給:alfazbet


あらすじ



フランス、コンテチーズの故郷ジュラ地方。18歳のトトンヌは、仲間と酒を飲み、パーティに明け暮れ気ままに過ごしている。しかし現実は容赦無く彼に襲いかかる。ある日チーズ職人だった父親が不慮の事故で亡くなり、7 歳の妹の面倒を見ながら、生計を立てる方法を見つけなければならない事態に……。そんな時、チーズのコンテストで金メダルを獲得すれば3万ユーロの賞金が出ることを知り、伝統的な製法で最高のコンテチーズを作ることを決意する。押し寄せる現実の荒波と不確かな未来、打算とロマンス。不器用な手つきで人生を切り開こうとする彼らの日々を鮮やかに描いた青春譚。




解説


フランスで約100 万⼈を動員!
「コンテチーズの村」で⽣きる若者たちの⽇々を描く、鮮やかに⼼打つ⻘春譚


監督のルイーズ・クルヴォワジエは、本作の舞台であるジュラ地方で育ち、リヨンの映画学校La CinéFabriqueでの卒業制作がカンヌの若手育成部門 “シネフォンダシオン” でグランプリを獲得した注目の女性監督。2024年のカンヌ国際映画祭を皮切りに、夭折の天才ジャン・ヴィゴにちなみ若手監督に授与されるジャン・ヴィゴ賞、フランスのアカデミー賞と言われるセザール賞など数々の映画祭を席巻。小規模な作品ながらフランスで約100万人を動員し、オスカー受賞作を上回るサプライズヒットとなった。


美しいだけでない農村のリアルな暮らし描く


キャストには地元の演技未経験者を起用し、農場を営む監督の家族が音楽や美術スタッフとして参加。ジュラ山地が生み出す壮大な自然の景色と共に、美しいだけでない農村のリアルな暮らしに確かな息吹を与えている。また、タイトルの「HOLY COW」とは「マジかよ!」「なんてこった!」など感嘆を表す言葉。

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“令和の浮世絵版画”に挑戦する職人たちを追うドキュメンタリー


江戸の浮世絵技術を現代に受け継ぐ「アダチ版画研究所」で、現代アーティストの作品を版画にするプロジェクトに挑む職人たちの仕事を追ったドキュメンタリー。
監督は『≒草間彌生 わたし大好き』(08)、『氷の花火 山口小夜子』(15)、『掘る女 縄文人の落とし物』(22)の松本貴子。ロッカクアヤコの指先から生まれる色の重なりや、草間彌生の迷いのない筆使いを超クローズアップで撮影した創作風景はアートファン必見。『べらぼう』の時代では男性中心だった世界に若い女性職人が増え、地方在住でも子育て中でも摺師の仕事は両立可能という現実も教えてくれる。

2025年製作/109分/G/日本
配給:Stranger


あらすじ



江戸時代に隆盛を極め、ゴッホなどの印象派にも影響を与えた浮世絵版画。令和の今、江戸の美意識と技術を継承するアダチ版画研究所が、“現代の浮世絵”を創造する一大プロジェクトに挑戦した。絵師は草間彌生、ロッカクアヤコ、ニック・ウォーカー、アントニー・ゴームリーなど、38名の世界的アーティスト。古典的な浮世絵とは違う世界観と多様な表現にたじろぐ若き彫師と摺師たちは、絵師の鋭い指摘に苦悩しながらも、職人としての矜持から粘り強く原画の美を掬い上げていく。カメラは浮世絵の新たな世界を模索し、殻を破る職人たちを追う。




解説


江戸の技、令和の感性
時代を超えたセッション


浮世絵人気を支えるのは、1928年(昭和3年)創業のアダチ版画研究所である。江戸時代後期に、世界最高峰といわれるまでに発展した浮世絵の版画技術を守り、継承することまもなく100年。アダチ版画研究所は創業者の安達豊久が「浮世絵文化によって培われた伝統木版画の魅力を、多くの人に伝えたい」と立ち上げた版元だ。現在は版元、彫師、摺師が1つ屋根の下に集う社屋兼工房を東京・目白に構え、江戸時代と同じ材料と制作方法で浮世絵復刻版を制作している。会長の安達以乍牟には時代ごとに支持されるものに関わり続け、浮世絵の可能性を広げていきたいという考えがあった。安達会長始め、前社長の中山年や現社長の中山周の3人は、現代の絵師との出会いをコンセプトに、国内外で活躍するアーティストとのコラボレーションに取りかかった。安達会長自らがまず最初に口説いたのは、日本を代表する前衛芸術家の草間彌生だ。浮世絵とのコラボレーションに目を輝かせた草間は、想像を超えた完成作にほれぼれとしていた。 この成功からプロジェクトは2019年に本格的に始動する。オファーしたのは、色彩のシャワーが幸福感をもたらす新進気鋭のロッカクアヤコ、ニューヨークで活動するストリートアーティストのニック・ウォーカー、パブリックアート作品で知られる彫刻家アントニー・ゴームリー、厚塗りした絵の具の筆を残す「対話」シリーズの李禹煥(リ・ウファン)など、国内外で活躍する作家たち。浮世絵と自作とのケミストリーに好奇心を隠せない彼らがアダチ版画研究所に託した原画は、古典的な浮世絵とはまったく違う世界観と多様な表現に満ちていた。 彫師歴18年の岸千倉、摺師歴15年の岸翔子や後輩の鈴木茉莉奈たちは、それぞれの絵師が提案するアイデアにたじろぎ、細かな模様や微妙なグラデーションに息を凝らす。しかし、職人としての矜持から粘り強く原画と対峙し、バレンと小刀を頼りに原画の意図と美をていねいに掬い上げていく。妥協のない絵師の指摘に苦悩しながらも試行錯誤を重ね、浮世絵の新たな世界を模索する彼らに、殻を破る瞬間が訪れた。

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富山県を舞台に作品を作り続けた
新進気鋭の坂本欣弘監督最新作


富山県の立山で3年に一度行われる女人救済の儀式「布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ) 」をモチーフに、心に深い傷を負ったひとりの女性の再生と、新たな一歩を踏み出していく姿を描いたドラマ。
主人公・由起子を渡辺真起子、彼女と行動を共にする少女・ 沙梨を、ドラマ『なんで私が神説教』に出演し本作が長編映画デビュー作となる陣野小和が演じる。そのほか木竜麻生、室井滋らが出演。監督は、軽度の知的障がいのある女性の初恋を描いた『真白の恋』(17)、人生に立ち止まってしまった若者を手助けする場所に集う人々を描いた『もみの家』(20)など、一貫して自身の出身地である富山県を舞台に、その美しい風景と共に人々が抱える痛みとその癒しを丹念に映し出し、映画ファンの心を掴んできた坂本欣弘。

2025年製作/94分/G/日本
配給:ラビットハウス


あらすじ



15年前、3歳だった愛娘を亡くした由起子は、心に癒えぬ傷を背負いながら、今もその罪の意識から逃れられずにいた。ある日、とある絵画を偶然目にして心を奪われた彼女は、駆り立てられるように、その絵が描く舞台の地へと足を運ぶ。立山連峰を望む橋のたもと。様々な想いを抱えた女性が集うその場所で、由起子は不思議なひとときを過ごすことになるのだった。




解説


空疎な日々に光を灯す
ひとときの空流


本作は、現在でも3年に一度、実際に富山県の立山で催される女人救済の儀式「布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ)」をモチーフにした作品。心に深い傷を負い、自責の念にかられたひとりの女性が導かれるように「布橋灌頂会」に参加し、その後、立山で出会った様々な人々、様々な出来事を通じて、いかにして新たな一歩を踏み出せたのかを描いた物語。主演は、1998年に映画『バカヤロー!私、怒ってます』で俳優デビューを果たして以降、日本映画界を支え、牽引し続けてきた渡辺真起子。立山で育ち「布橋灌頂会」の手伝いをしていたことをきっかけに由起子と出会い、行動を共にすることになる少女・沙梨役には、2025年に日本テレビ 土曜ドラマ『なんで私が神説教』に出演した他、CMでも活躍し、本作が長編映画デビュー作となる陣野小和。由起子と共に「布橋灌頂会」に参加したことをきっかけに奇妙な巡りあわせにより由起子と沙梨と関わり合いを持つ夏葉役には、カンヌ国際映画祭監督週間に出品された『見はらし世代』(団塚唯我監督)に出演した木竜麻生。そして、由起子の過去を知り彼女に優しく寄り添う美佐江役には富山県出身の俳優、室井滋が扮し、個性豊かな俳優陣が脇を固めます。


布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ)


江戸時代、生前自らが積み上げた罪によって、死後、地獄に堕ちると信じられていた。この不安から逃れるために、男性の間で罪滅ぼしを目的とする「立山禅定登拝」が盛んになった。一方、女性は死後必ず地獄に堕ちるとされ、立山への登拝も許されていなかった。極楽往生を願う女性たちを救うため、閻魔堂・布橋・うば堂を舞台に行われたのが「布橋灌頂会」(布橋大灌頂)。明治期になると、神仏分離や女人禁制が廃止された影響もあり、布橋灌頂会も行われなくなった。平成8年(1996)に現代的なイベントとして復元され、近年は3年に一度、開催されている。

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