2022年に金子雅和監督の『リング・ワンダリング』に商業映画のプロデューサーとしては18年ぶりに携わらせていただきました。企画段階から劇場公開に至るまで様々過程を経ていくに際し、資金面に配給宣伝、その戦略然りと都度最善を尽くしていきます。
当該作品は複数の海外の映画祭で素晴らしい評価を得て、いよいよ日本公開へ。映画視聴の環境の変化と様々な状況下も相まってか、大ヒットという訳にはいきませんでしたが、そうした中に於いても健闘した興行成績であったことは一定の評価として客観的に捉えました。
何故、こうしたお話しをさせていただいたか――いわゆるどんなに素晴らしい内容のある作品を制作したとして、視聴する層がいなければ作品は成立しないという根本的な仕組みを考えます。
映画人口を大量広告のみで挙がった作品だけを選択肢とする層があります。
一方でミニシアター映画と呼ばれる、単なるハッピーエンドに収まらない、心象的な映像と言葉の行間や余韻といった内面に訴えるタイプの映画を好む層は、勧善懲悪や喜怒哀楽に終始する作品に飽き足らず、作品の選択肢を求めていきます。
ヨーロッパや中央アジア、日本を除く東アジアの作品群はバラエティに富み、俳優偏重にこだわることのない映画づくりが為されています。そうした映画を各国の映画ファンは劇場で映画を観る習慣が概ね備わっているのです。
日本映画はかつて1930年代から1960年代前半頃までは世界を牽引した映画産業、映画文化の発信ができるポテンシャルがありました。
そして現在、メジャー資本とインディペンデント製作で劇場公開した年間の映画製作本数は圧倒的に1対9の割合でインディペンデント製作が占めているのですが、メジャーの1割が興行収入の全体を占めている現実があります。
これは宣伝が一般に行き渡っていないか、はたまたインディペンデント作品は一般的な映画嗜好の人から眼中外なのか考える点ではあります。
とどのつまり、映画嗜好の幅を広げて、劇場で観る層を増やすことでしか、インディペンデントを含めたミニシアター映画への関心は生まれないのです。
映画は娯楽であります。
娯楽の考え方、その範囲は広く、映画の楽しみ方は人それぞれです。
「生活の中に映画を」
様々な視点からカタチになった映画から何かを感じてもらいながら、感性にフィードバックしてもらえる機会を設けられるような、そんなラインナップで構成された映画館『シネマポスト』を皆さんと一緒に作っていきたいと思います。
シネマポスト支配人
鴻池和彦
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